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公開日:2022.07.21更新日:2022.08.31
インボイス制度で経理業務はどう変わる?わかりやすく解説!
インボイス制度とは?
「インボイス制度」とは、簡潔に言えば、取引内容や消費税率、消費税率などの記載要件を満たした請求書などの発行・保存に関する制度です。
正式名称は「適格請求書等保存方式」といいます。
インボイス制度が導入される背景
インボイス制度が導入される主な背景は、益税が問題視されていることと複数の消費税率の存在変更です。現在の制度上、免税事業者が消費税を納税しないことや、中小企業が簡易課税制度で納税することにより、納付されない消費税が発生しています。
また、現在ほとんどの商品には10%の税率が適用されていますが、商品によっては8%の軽減税率が適用されているものもあります。2つの税率が混在すると、どの商品にどの税率が適用されているのかを区分したうえで、経理処理を行う必要があります。
そこで、正確な消費税額・消費税率を把握するための必要項目がある「インボイス(適格請求書)」の発行が定められることになりました。それがインボイス制度です。
インボイス制度で何が変わるのか?
制度の詳細については後ほどご説明させていただきますが、大きく変わるのは下記3点です。
①消費税免税事業者は、益税がなくなる
②消費税免税事業者は、経過措置後に課税事業者に取引を控えられる可能性がある
③課税事業者は、「適格請求書発行事業者」に登録し、インボイス制度に対応しうる経理体制に切り替える必要がある
(請求書への記載項目増加、煩雑になる処理への対応)
インボイス(適格請求書)を発行できるのは課税事業者のみ
インボイス(適格請求書)は、課税事業者(売上1,000万以上で消費税を支払っている事業者)のみ発行ができます。免税事業者(売上1,000万未満で消費税を免除されている事業者)は、適格請求書を発行することができません。
インボイス制度の開始後の、経過措置期間とは
インボイス制度の適用後は、課税事業者以外からの仕入れで発生する消費税額は、控除できなくなります。
ただし、2029年10月までは経過措置期間として、免税事業者からの仕入れに対して、仕入れ税額相当額の一定割合は控除できるようになっています。しかし、経過措置期間内でも控除が段階的に減ることになるので、注意が必要です。
経過措置期間における、免税事業者からの仕入税額控除
・2023年9月30日まで:100%控除
・2023年10月1日~2026年9月30日まで:80%控除
・2026年10月1日~2029年9月30日まで:50%控除
・2029年10月1日以降:控除なし
インボイス制度で経理業務はどう変わる?
インボイス制度が適用される2023年10月1日以降は、「インボイス(適格請求書)」を保存しないと、課税仕入れに係る消費税額を仕入税額控除することができなくなるため、課税事業者は仕入税額控除対象の仕入を区別できるようにならなければいけません。課税事業者の経理担当者は従来の実務に加えて、下記を実施する必要があるので注意しましょう。
仕入税額控除対象かどうかを確認する
請求書発行業者を確認し、適格請求書発行事業者以外への支払の消費税は「仕入税額控除対象」にならないようにしましょう。
請求書に記載する必要項目が増える
従来使用されている請求書では、適用税率や消費税額の記載を義務付けられていません。しかし、インボイス制度では、請求書に下記を記載する必要が生じます。
従来からの必要項目
・受領者の氏名、または名称
・取引年月日・対価の額(税込)
・取引内容・発行者の氏名または名称
インボイス制度により、追加で記載が必要な項目
・軽減税率対象品であるかどうか
・税率ごとの対価の合計金額
・税率ごとの消費税額、及び適用税率
・適格請求書発行事業者の登録番号
これらが記載されていない請求書や領収書はインボイス(適格請求書)とは認められなくなります。自社で発行する請求書に上記項目を記載するのはもちろんのこと、請求書受領時に上記項目が記載されているかどうかも確認しましょう。
仕入税額対象かどうかわかるように仕訳する
インボイス制度適用前は、課税仕入10%、課税仕入8%といった税率ごとの仕訳を集計し、仕入税額を計上できます。しかしインボイス制度適用後は、仕入れ税額対象かどうかをわかるように仕訳する必要があります。
その取引が、課税事業者との取引の場合は仕入税額対象、免税事業者との取引の場合は仕入税額の対象外と、仕入税額控除対象かどうか分かるようにしておく必要があります。
消費税計算の端数処理が1回になる
インボイス制度適用前は、請求書は品目ごとに計算でき、端数処理にルールが設けられていませんでしたが、インボイス制度適用後は、端数処理にルールが設けられることになります。端数処理は、税率ごとに1回となり、税率ごとの合計金額に税率を乗じて消費税額を計算することになります
電子インボイスへの対応
取引先に、課税事業者と免税事業者の両社がいる場合、両者を分けて計算し、すべての適格請求書を7年間保管しなければなりません。紙での管理だと膨大な量です。また、請求書の必要記載項目が増えるので、仕入税額控除申告時、必要な請求書との照合作業に多大な時間がかかってしまいます
このような書類のやり取りを電子データで行うのが電子インボイスです。電子インボイスでは、標準規格が定められているので、照合作業に時間をとられることなく、企業や業界を問わず円滑に、適格請求書などのやり取りが行えるようになります。
インボイス制度による経理負担を削減するためにも、電子インボイスの採用を検討しましょう。
インボイス制度に対応するための3つのポイント
では、インボイス制度がインボイス制度に対応するためのポイントを解説します。
「適格請求書発行事業者」に登録申請をする
インボイス(適格請求書)を発行できるようにするためには、2023年3月31日(金)までに登録申請し、適格請求書発行事業者なる必要があります。
登録の手順は下記のようになります。
1.登録申請書を管轄税務署に提出する
※必要用紙は下記国税庁サイトにあります。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/invoice_01.htm
2.税務署にて審査が実施される
3.税務署から適格請求書発行事業者として、登録及び公表がされる
4.税務署から登録手続き完了の通知と登録番号が送られるただし、この登録申請は課税事業者のみで、免税事業者は行うことができません。
インボイス(適格請求書)に対応する経理システムを整える
インボイス制度適用後は、上記に記載した通り、従来の請求書に加えてインボイスを発行した事業者の特定や、税率ごとの合計額、消費税額の記載等が経理業務の負担が増えることになります。
具体的に、影響が生じる経理業務として、
・請求書発行業務
・会計
・販売管理、及び受発注
・POSレジ/POSシステム
等が挙げられます。
一方で、これを機に経理周りをシステム化、クラウド化に着手する企業も少なくありません。インボイスに対応する経理システムを整えることで、経理の業務負担を増やすことなく、税額控除を引き続き受けることができる体制を整えましょう。
免税事業者は課税事業者になるかどうかを選択する
上記でお伝えした通り、免税事業者はインボイス(適格請求書)を発行することができません。経過措置期間の間、買い手(課税事業者)は、免税事業者からの仕入れに対して、仕入れ税額相当額の一定割合を控除できるようになっていますが、その控除額も年々減少するようになっています。
このように、経過措置期間が終わる2029年10月には、買い手(課税事業者)は、免仕入税額控除ができなくなります。このような背景から課税事業者は免税事業者と取引を控えられるケースが発生することが想定されます。
免税事業者にとっては、インボイス制度適用後も免税事業者のままでいるのか、もしくは課税事業者となり消費税を納税するのかといった選択を検討する必要が生じることでしょう。自社の利益を見極めたうえでご決断いただければと思います。
まとめ
いかがでしたか?今回のインボイス制度による制度改正が、企業経営において多大な影響があることをお判りいただけたのではないでしょうか?
顧問税理士がいる経営者様は税理士から既に説明を受けている、または適格事業者登録を顧問税理士と進めていることと思います。
もし、まだ説明を受けていないという経営者様がいらっしゃれば、今すぐ顧問税理士にご確認ください。そこで、顧問税理士からのクラウド会計をはじめとする経理システムの提案がない、経理業務の改善提案がないという場合は、貴社と顧問税理士のミスマッチが生じているかもしれません。
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岡本 千賀子入社後、会計事務所向けコンサルティングに従事し、WEBマーケティング、集客チャネルの開拓を中心に支援を実施。その後産休育休を経て、現在は、企業と会計事務所のマッチング事業に従事している。