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経理アウトソーシングとは?メリット・デメリットや料金相場、外注との違い
深刻な人手不足が続く現代、多くの中小企業が「経理人材の採用」に頭を悩ませています。かつては自社で担当者を雇用するのが当たり前でしたが、現在は「経理を雇う」のではなく「選ぶ(アウトソーシング)」という発想への転換が、企業の成長を加速させる新常識となりつつあります。
実際に、中小企業における中途採用コストは年々増加しており、2023年以降は物価高や労働力不足を背景に、採用経費がさらに20~25%ほど高騰しています。優秀な経理スタッフを一人採用するだけでも、求人広告費や人材紹介費用を含め、1人あたり約103.3万円の採用単価がかかっているのが実態です。
私たち船井総合研究所のコンサルタントが現場で目にするのは、経理業務が特定の人間に依存する「属人化」や、経営者自身が月間30時間もの貴重な時間を事務作業に奪われているという危機的な状況です。
本記事では、経理アウトソーシングを活用することで、どのようにコストを削減し、経営スピードを劇的に向上させることができるのか、具体的な数値を交えて3つの大きなメリットを解説します。
経理アウトソーシングの3つのメリット
経理担当者の採用・教育コストの削減と属人化の解消
自社でプロの経理正社員を雇用する場合、初年度にかかる合計コストは約570万円(採用費103.3万円+人件費400万円+労務費70万円)にものぼります。
一方で、経理代行を活用すれば、導入コンサルと年間費用を合わせても約170万~460万円程度に抑えることができます。経理代行を活用することで、年間で100万円以上のコスト削減が可能です。
また、単なるコストの問題だけではありません。中小企業にとって最大の経営リスクの一つは、経理業務の「属人化」です。経理担当者が一人体制の場合、その方の急な病欠や退職によって、請求書発行や給与計算、支払処理などの重要業務が完全に停止し、最悪の場合は決算にまで悪影響を及ぼす「経理崩壊」のリスクがあります。
経理アウトソーシングを導入することで、業務はプロのチームによって標準化され、ブラックボックス化が解消されます。マニュアルに基づいた複数人によるチェック体制が構築されるため、担当者の離職リスクに怯える必要がなくなり、24時間365日止まらないバックオフィス体制を安定して維持できるようになります。
経営者が本業(売上アップ)に専念できる環境づくり
また、経理担当者をまだ採用していない企業や、給与計算や振込業務などお金がかかわる業務を任せられる人がいない中小企業の経営者が陥る罠は、本来「攻め」の判断に使うべき時間を、領収書の整理や振込データの作成といった「守り」の事務作業に費やしてしまうことです。
実際に、ある建設業の事例では、社長が自ら経理業務に月間約30時間を費やしていましたが、アウトソーシング導入後は月間2~3時間まで、工数を90%以上削減することに成功しました。
この「創出された30時間」を、営業戦略の立案や新規事業の開拓、採用活動といった本業に充てることで、企業の売上はさらに伸びるはずです。
また、アウトソーシングによって月次決算が早期化されることも大きなメリットです。従来、試算表の作成に2ヶ月もかかっていた企業が、「月次20日」で数値を把握できるようになれば、タイムリーな投資判断や資金繰り対策が可能となります。
経営数値が「見える化」されることで、どの部門が利益を出しており、どこに課題があるのかが明確になります。正しい数字に基づいたスピーディーな経営判断ができる環境こそが、年商を10億円、20億円と伸ばしていくための不可欠なインフラとなるのです。
最新の法改正(インボイス・電帳法)への確実な対応
近年のインボイス制度の導入や電子帳簿保存法の改正など、経理に関わる法規制は非常に複雑化しており、自社の担当者だけで常に最新の情報を把握し、実務に反映させるのは容易ではありません。法改正への対応漏れは、税務調査での指摘リスクや、取引先への信頼失墜にもつながりかねません。
ハイレベルな経理代行サービスであれば、税理士や専門家が監修しているため、常に最新の法規制や制度改正に基づいた正確な処理を任せることができます。例えば、インボイス制度に対応した請求書の発行代行や、電子帳簿保存法に準拠したクラウドストレージへのデータ保存など、法的に求められる要件をプロのノウハウで確実にクリアします。
さらに、単なる業務代行にとどまらず、AI OCRやクラウド会計ソフト(マネーフォワードクラウド等)を活用した最新のDX推進を提案してくれる点も強みです。プロの知見を借りることで、自社がアナログな体制のまま取り残されるリスクを回避し、常に時代に合わせた最適な経理体制を維持することが可能になります。
経理アウトソーシングの3つのデメリット
ここまで経理アウトソーシングのメリットをお伝えしましたが、安易な導入は禁物です。「外部に任せれば全て解決する」と考え、準備不足のまま切り替えてしまうと、思わぬ落とし穴にはまる可能性があります。
失敗しないためには、事前に「デメリット」や「リスク」を正しく理解し、それに対する明確な対策を持っておくことが不可欠です。
特に、「社内にノウハウが残らないのではないか」「情報漏洩が心配だ」「導入時の負担が重そう」といった懸念は、多くの経営者が抱く共通の悩みです。リスクを正しく恐れ、対策を講じることで、会社のバックオフィスは「守り」から「攻め」の体制へと生まれ変わることができます。
1. 自社に経理業務のノウハウが蓄積されにくくなる
経理アウトソーシングの最大の懸念点として、「業務を外部に出してしまうと、社内に経理の知識やノウハウが蓄積されなくなるのではないか」という点が挙げられます。確かに、日々の仕訳入力や請求書発行といった実務を外部に委託すれば、社内スタッフがその作業経験を積む機会は失われます。将来的に再び経理を内製化しようとした際に、実務をこなせる人材が不在となるリスクは否定できません。
しかし、ここで一度立ち止まって考えてみてください。現在、貴社の経理業務は「特定の担当者しか分からない」状態になっていませんか? 多くの中小企業では、経理担当者が一人体制であるがゆえに業務がブラックボックス化し、その方が退職した瞬間に経理が停止する「属人化リスク」を抱えています。つまり、社内でやっているからといって、必ずしも「会社としてのノウハウ」が蓄積されているわけではなく、むしろ「個人への依存」が強まっているケースが大半なのです。
私たちが推奨する「ハイレベル経理代行」では、単に作業を代行するだけでなく、業務フローの標準化やマニュアル化を行います。クラウド会計などのシステムを活用し、誰が見ても数字の流れがわかる状態を構築するため、むしろ従来よりも「会社の資産」としてのノウハウは蓄積されやすくなります。
重要なのは、実務作業のスキル(手を動かすこと)を社内に残すことではなく、「数字を見て経営判断を行うスキル」を社内に残すことです。アウトソーシングによって空いた時間を、過去の処理ではなく未来の財務分析に充てることこそが、成長企業に必要な「ノウハウの蓄積」であると考えます。
2. 情報漏洩やセキュリティに関するリスクへの対策が必要になる
大切な財務データや従業員の個人情報(マイナンバーや給与情報など)を社外に出すことに対して、セキュリティ面での不安を感じる経営者は少なくありません。実際に、セキュリティ対策が不十分な個人業者や安価な代行業者に依頼してしまった場合、データの紛失や漏洩といった重大な事故につながるリスクがあります。社内で管理していれば目が届きますが、外部委託の場合は相手先の管理体制が見えにくいため、心理的なハードルとなるのは当然のことです。
しかし、裏を返せば、自社のセキュリティ環境は万全でしょうか? 「担当者がUSBメモリでデータを持ち出せる状態になっている」「パスワードの管理がずさんである」といった中小企業の現場も散見されます。信頼できるアウトソーシング会社(BPO事業者)は、最新のセキュリティ機能を備えた専用PCの使用、VPN(仮想専用線)環境での通信、生体認証による入室管理など、一般的な中小企業よりもはるかに強固なセキュリティ体制を敷いています。
選定時には、以下のポイントを必ず確認してください。
- プライバシーマーク(Pマーク)やISO27001(ISMS)などの認証を取得しているか
- 業務を再委託(孫請け)せず、自社で直接雇用し教育された従業員が対応しているか
- ダブルチェック体制などのミス防止策が徹底されているか
適切なパートナーを選べば、自社で対策コストをかけるよりも、結果として低コストで安全な情報管理体制を手に入れることが可能です。「外部に出すから危険」ではなく、「プロの金庫に預ける」という感覚で、委託先のセキュリティ基準を厳しくチェックすることが肝要です。
3. 業務フローの変更による一時的な現場の負担増が生じる
「アウトソーシングすれば、翌日からすぐに楽になる」とお考えであれば、注意が必要です。導入初期には、業務フローの変更や資料の整理、クラウドツールの設定などで、一時的に現場の負担が増加する期間が発生します。 具体的には、これまでの「紙の領収書を渡して終わり」というアナログなやり方から、「スキャンしてクラウドにアップする」「チャットで連絡を取り合う」といった新しい手順に移行するための「初期構築期間(セットアップ)」が必要です。
船井総研の支援事例では、このDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の段階で、一時的に通常時の約2〜3倍の工数がかかることがあります。これまでの業務の棚卸しや、経理担当者へのヒアリング、新ルールの定着に向けた教育などが必要になるためです。この期間に現場から「今のやり方のほうが楽だ」「面倒くさい」といった反発が起こることも珍しくありません。
しかし、この「産みの苦しみ」は、わずか数ヶ月の話です。導入期間(最短1〜2ヶ月、定着まで3〜6ヶ月程度)を乗り越えれば、定型業務の処理時間は最大で80%以上削減され、月間30時間かかっていた社長の経理業務が2〜3時間に激減した事例もあります。 導入を成功させる鍵は、経営者が「これは将来のための投資期間である」と割り切り、現場に対して「なぜ変える必要があるのか(バックオフィスの安定化や高付加価値業務へのシフト)」を明確に伝え、リーダーシップを持ってプロジェクトを推進することです。一時的な負担を恐れず、根本的な仕組みを変える覚悟を持つ企業だけが、24時間365日止まらない強固な経理体制を手に入れることができます。
経理アウトソーシングの費用相場|自社雇用と比較してどっちが安い?
多くの中小企業経営者が「経理は自社で雇うのが最も安上がり」と考えてしまいがちですが、実態は大きく異なります。現在、経理人材の労働市場は逼迫しており、中途採用コストは1人あたり約103.3万円にまで高騰しています。さらに、2023年以降は人手不足と物価高を背景に、採用経費はさらに20~25%ほど上昇傾向にあります。
船井総合研究所が試算したデータによると、プロの経理正社員を1名雇用する場合、採用費・人件費・法定福利費を合わせた初年度の合計コストは約570万円に達します。
これに対し、経理代行(BPO)を活用した場合、初期の導入コンサル費用(約50~100万円)と年間費用(約120~360万円)を合わせても、初年度合計は約170~460万円の範囲に収まります。つまり、外部に委託することで、年間100万円以上のコスト削減を実現しながら、よりレベルの高い経理体制を構築することが可能です。
経営者にとっての真のコストは、支払う給与だけではありません。担当者の急な離職や病欠によって業務が停止する「属人化リスク」や、不透明な作業による「ブラックボックス化」も、目に見えない巨大な経営コストです。
私たちは「経理を雇う」という発想から、必要な分だけプロの品質を「選ぶ」という発想への転換こそが、成長を続ける企業にとっての新常識であると考えています。
【業務別】記帳代行・給与計算・振込代行の料金目安
経理アウトソーシングの費用は、一般的に「仕訳数」や「従業員数」に応じた*従量課金制(業務量に応じた支払い)が主流です。自社で正社員を雇用すると業務量の増減にかかわらず固定費が発生しますが、アウトソーシングであれば「かかる費用は業務量の分だけ」に抑えられるのが大きなメリットです。
具体的な業務別の費用相場(目安)は以下の通りです。
| 業務内容 | 費用目安(従量課金制) |
| 記帳代行 | 1仕訳 100〜150円 |
| 給与計算 | 1人 1,000〜2,000円 |
| 振込代行 | 1件 500〜2,000円 |
| 請求書発行 | 1件 1,000〜1,500円 |
- 記帳代行(会計入力): 入力内容のチェックのみであれば1仕訳あたり50~100円程度、入力から依頼する場合は100~150円程度が一般的です。仕訳数に基づき、100仕訳あたり約1万円というパッケージ設定をしている会社も多く見られます。
- 給与計算代行: 従業員1人あたり1,000~2,000円程度です。勤怠データの集計から振込データの作成まで含める場合、オプション料金が加算されますが、最新の法改正が常に反映される安心感があります。
- 振込・支払管理代行: 振込1件あたり500~2,000円程度です。
- 請求書発行代行: 1件あたり1,000~1,500円程度で、売上データの共有だけで正確な発行が可能です。
単なる「作業の代行」にとどまらず、AI OCRやクラウド会計を駆使する「ハイレベル経理代行」の場合、業務フロー自体の改善提案が含まれるため、結果的に自社の工数を劇的に削減できます。実際に最大80%以上の効率化された会社もあります。
経理アウトソーシングのプラン選びの注意~従量課金制?月額固定制?~
料金体系には、前述の「項目単価(従量制)」のほかに、作業時間に応じた「タイムチャージ制」や、毎月一定額を支払う「月額固定制」があります。例えば、1時間あたり税抜き4,000円といった時間給形式で設定されるケースも存在します。
プラン選びで最も注意すべき点は、「安さだけで選ばないこと」です。従来の低価格な記帳代行は、単に紙の資料を預かって入力するだけのため、試算表の完成が「2ヶ月遅れ」になることも珍しくありません。経営判断を加速させたい成長企業であれば、以下のポイントを基準に選ぶべきです。
- 試算表の早期化をしてくれるか
翌月20日以内、あるいはリアルタイムで数字が把握できる体制を構築できるか。
- 部門別管理に対応してくれるか
どの店舗、どの部門が利益を出しているかを見える化できるか。
またより正確な管理のための提案をしてくれるか。
- 複数名体制で対応してくれるか
担当者が一人ではなく、チームで対応し、レスポンスが1日以内であるか。
初期のDX推進(クラウド化)2~3倍の工数がかかることがありますが、これを経ることで定型業務を最大80%削減できるため、初期の設計に強みを持つパートナーを選ぶことが、中長期的なコストパフォーマンスを最大化させます。
経理アウトソーシングで見落としがちな「初期費用」と「オプション料金」
経理アウトソーシングの導入において、月額費用以外に必ず確認しておくべきなのが前述の「初期の設計費用(セットアップ料金)」です。アナログな経理体制から脱却し、クラウド会計や経費精算ツールを導入する場合、50~200万円程度の初期構築費用が発生することが一般的です。
この費用は「高い」と感じられるかもしれませんが、紙の帳票整理や多重入力といったアナログ業務を根絶し、24時間365日止まらないバックオフィスという「資産」を作るための投資と捉えるべきです。実際に、初期投資100万円をかけた企業が、わずか3ヶ月分の人件費差額でその投資分を回収できた事例もあります。
「まだ自社は大丈夫」と改善を先延ばしにし、経理体制が崩壊してから相談にこられるケースでは、データの復旧やゼロからの再構築が必要となり、通常よりも高額な費用を請求されるリスクがあります。経理の不安を少しでも感じた今こそ、将来の成長を見据えた投資として、プロへの相談をお勧めいたします。
経理アウトソーシングで依頼できる業務範囲とできない業務
法律(税理士法)の定めにより、外部の代行業者が「やってはいけない業務」も存在します。経営者が正しく判断すべき「丸投げ可能な範囲」と「業者選びの注意点」について、具体的な数値を交えて解説します。
請求書作成から支払いまで、どこまで丸投げ可能か
現代のハイレベルな経理代行では、資料整理といった下流工程だけでなく、上流の「取引フロー」そのものを外部化することが可能です。具体的には、以下の業務が主な委託範囲となります。
下記以外にも、「マニュアル作成」や「経営会議資料作成」などまで対応してくれる経理代行もあります。
- 記帳代行(仕訳入力): 請求書や領収書データを共有するだけで、正確な会計データを作成します。
- 請求書発行・売掛金管理: 売上データを共有すれば、請求書の発行代行から入金確認までを任せられます。
- 振込・支払管理代行: 届いた請求書に基づき、インターネットバンキングの振込データ(FBデータ)を作成します。
- 給与計算代行: 勤怠データに基づき、給与計算からWeb明細の発行まで対応可能です。
「税務申告」は税理士資格が必要!経理アウトソーシング先選びの落とし穴
経理アウトソーシングを検討する際に、最も注意すべき「できない業務」が税務申告および税務相談です。これらは税理士法により、税理士資格を持つ者しか行うことができません。
安価な記帳代行業者の中には、無資格で税務的な判断を行ったり、申告書作成まで請け負ったりする不適切なケースも見られますが、これは企業にとって大きなコンプライアンスリスクとなります。信頼できるパートナーは、税理士法人が母体となっているか、あるいは顧問税理士と適切に連携できる体制を持っています。
また、単に「入力作業が安い」という理由だけで業者を選ぶのも危険です。従来のオンプレミス型ソフトを使った「丸投げ記帳」では、試算表の完成が2ヶ月以上遅れることが常態化しており、迅速な経営判断を阻害します。私たちが推奨する「ハイレベル経理代行」は、単なる作業代行ではなく、AI OCRやクラウド会計(マネーフォワードクラウド等)を活用した業務改善(DX推進)まで提案できる先です。最新の法改正(インボイス制度や電帳法)へ確実に対応し、正確な数字をスピーディーに出せるパートナーを選ぶことが、最終的な経営効率を最大化させます。
経理アウトソーシングを決断すべきタイミングと自社に残すべき経理業務
アウトソーシングを導入しても、すべての業務を社外に出すわけではありません。自社に残すべきは、「経営判断に直結する意思決定」と「最終的な承認」です。具体的には、資金繰りの最終決定や、提示された試算表に基づく投資判断などは、経営者や財務責任者が自ら行うべきコア業務です。
切り出しのタイミングについては、以下のチェックリストを参考にしてください。
- 試算表の確認が翌月20日、30日を過ぎている
- 経営者やその家族が、日々の振込や領収書整理に追われている
- 経理担当者が1名体制で、業務がブラックボックス化している
- 部門別・店舗別の正確な損益が出せていない
これらに一つでも当てはまる場合、すでに社内体制は限界(成長の踊り場)に達しています。特に経理担当者の退職が決まったタイミングなどは、後任を無理に採用するのではなく、BPOへ切り替える絶好のチャンスです。
「経理を事後処理ではなく、未来をつくる経営管理インフラに変える」という発想で、まずは自社のアナログな業務フローを棚卸しすることから始めてみてください。整った仕組みを外部に預けることで、自社の経理スタッフを「分析や財務」といった、より付加価値の高い業務へシフトさせることも可能になります。
失敗しない!中小企業に最適な経理アウトソーシング先を選ぶ5つの基準
経理代行であればどこでも良いというわけではありません。安さだけで選んでしまい、試算表の提出が2ヶ月以上遅れるような従来の代行業者では、迅速な経営判断を阻害し、企業の成長を鈍化させるリスクがあります。おすすめのパートナー選びの基準は、単なる作業の代行ではなく、業務フローの改善や最新のITツール活用を含めた「ハイレベルな支援」ができるかどうかです。
企業規模を拡大させる経営者が、失敗しないために確認すべき5つの具体的な選定基準を解説します。
証憑のやり取りはクラウドか?郵送か?(利便性の確認)

代行業者を選ぶ際の第一の基準は、資料共有の「利便性」と「スピード」です。従来の経理代行では、領収書や請求書を整理して郵送するスタイルが一般的でしたが、これでは自社の工数が削減されないばかりか、データの反映にタイムラグが生じてしまいます。
最新のハイレベル経理代行では、クラウド会計(マネーフォワードクラウド等)とインターネットバンキングを連携させ、データを自動で取り込む体制を構築します。紙の領収書についても、AI OCRを活用してスマートフォンで撮影するだけでデータ化し、クラウドストレージ(BoxやDropbox等)で即座に共有できる仕組みを提案してくれます。
こうしたDX推進により、定型業務の処理時間は最大で80%以上削減することが可能です。さらに、月次決算が「2ヶ月遅れ」の状態から、翌月「15日〜20日」というリアルタイムな数値把握へと劇的に改善されます。経営者がいつでもどこでもスマホで最新の数字を確認できる環境を整えてくれるかどうかは、成長を支えるパートナーとして極めて重要な指標となります。
セキュリティ体制と情報漏洩対策は万全か
経理データは企業の機密情報や個人情報の塊であり、外部委託にあたっては万全のセキュリティ体制が求められます。単に「安く引き受けてくれる」という理由だけで、個人で請け負っているような業者や、セキュリティ対策が不透明な会社を選ぶことは非常に危険です。
信頼できる代行業者は、最新のセキュリティ機能を備えた専用PCやVPN(仮想専用線)環境を使用し、適切な情報管理を行っています。また、業務を再委託(外注)せず、自社で直接雇用し教育された従業員が対応しているかどうかも確認すべきポイントです。
情報管理の品質を担保するためには、ダブルチェック体制が構築されているか、最新の法規制(電子帳簿保存法等)に基づいた適切なデータ保存が行われているかもチェックしてください。経営上のリスクを最小化し、安定的に業務を継続できるパートナーを選ぶことが、最終的には自社の資産を守ることにつながります。
担当者の専門性と「レスポンスの速さ」を重視する
アウトソーシングを導入しても、担当者からの返信が遅ければ、結局は自社の業務が滞ってしまいます。成長企業の経営者にとって、判断を止める「待ち時間」は最大の損失です。そのため、チャットツール(ChatworkやLINE WORKS等)を活用し、原則として1日以内、理想的には数時間以内にレスポンスをくれる体制があるかを確認してください。
また、特定の一人が担当するのではなく、複数名のチーム体制で対応してくれる先を選ぶことが「属人化」を防ぐ鍵となります。担当者の退職や急な不在によって経理が停止するリスクをゼロにできるのが、アウトソーシングの本来の価値です。
さらに、担当者が単なる記帳作業者ではなく、最新の会計ソフトの操作や税務・労務の基礎知識に精通した「プロ」であることも重要です。複雑な法改正にも迅速に対応でき、クラウドツールの不明点をZoom等ですぐにレクチャーしてくれるような、伴走型のサポート体制を持つ先を優先的に検討しましょう。
業界特有の商習慣に対応できる実績があるか
経理業務には、業種ごとに特有の勘定科目や会計処理が存在します。例えば、建設業であれば「原価管理」や「どっと原価」などの専用ソフトとの連携が必要ですし、不動産業であれば物件ごとの損益管理が求められます。こうした自社のビジネスモデルや業界特有の商習慣を理解していない業者に依頼すると、正確な数字が出せないだけでなく、現場とのやり取りに多大なストレスが発生します。
選定の際には、自社と同業種での支援実績があるかを必ず確認してください。優れた代行業者は、自社流のやり方に固執せず、システムの仕様に合わせた「標準化」を提案しつつも、経営判断に必要な「部門別会計」などを正確に構築してくれます。
特に年商が拡大するフェーズでは、不採算部門の早期特定や、適切な投資判断のために、精度の高い部門別損益が不可欠です。業界知識とITスキルの両面を兼ね備え、自社の「スケーラビリティ(拡張性)」を支えてくれる実績豊富なパートナーを選びましょう。
公認会計士・税理士との連携体制の有無
最後に確認すべきは、専門家による「監修体制」の有無です。経理代行業務の中には、税理士法などの法律により資格保持者しか行えない業務(税務申告や具体的な税務相談等)が含まれる場合があります。代行業者そのものが税理士法人を母体としているか、あるいは公認会計士・税理士と密接に連携している体制であることは、コンプライアンスの観点から重視すべき条件です。
専門家がバックアップしている体制であれば、最新の税制改正やインボイス制度などへの対応も安心です。さらに、正確な試算表をスピーディーに作成できるパートナーは、金融機関からの評価向上にも大きく寄与します。
「攻め」の経営を行うためには、低金利融資の実現や適切な節税対策、さらにはM&AやIPOを見据えた高度な財務基盤が必要です。単なる入力作業の代行に留まらず、将来的に経営を共に支えてくれるような「戦略的なパートナー」を、紹介サービス等を通じて見つけてください。
経理アウトソーシング導入の流れ:検討開始から業務スタートまで
導入にあたっては、いきなりすべてを丸投げするのではなく、専門のコンサルタントによるヒアリングから始まり、最短1~2ヶ月で業務をスタートできる「3つのステップ」を推奨しています。
経営者が経理の不安から解放され、営業や新規事業といった本業に100%集中できる環境を手に入れるための具体的な導入プロセスを解説します。
現状の業務フローの棚卸しと課題の整理
経理アウトソーシングの第一歩は、現状の「負の遺産」を洗い出すことから始まります。
実際の流れのイメージを整理してみます。
- 3〜6ヶ月:構築期間
クラウド設定とデータ移行を行い、業務を軌道に乗せます。
・現状把握のためのヒアリング
専門スタッフが貴社の経理担当者と面談を行い、スキル確認や現在使用している帳票・データの整理を徹底して行います。
多くの中小企業では、帳簿の手書きやExcelへの二重入力、紙のタイムカードによる集計など、アナログで属人化された業務が温床となっています。これらは担当者の急な退職によって業務が完全に停止する「停止リスク」を孕んでいます。
・経理フローの見直し&標準化
そのため上流の仕組みを見直します。具体的には、領収書をAI OCRでデータ化し、クラウドサーバーで共有する体制へと移行します。ここで重要なのは、「うちは特殊だから」という自社独自のルールを捨て、クラウドソフトの標準仕様に業務を合わせる「標準化」です。
業務を標準化することで、従業員数が50名、100名と増えても耐えうる、24時間365日止まらない強固なバックオフィス体制の基盤が完成します。
・経理代行の開始
業務を標準化した上で、経理代行をスタートします。
- 月次30日以内の数値確定(導入4~7カ月後)
以前は翌々月にならないと分からなかった数字が、翌月20日、早い事例では翌月2日程度で把握可能になります。
- 部門別損益の見える化(導入6~9カ月後)
どの店舗・どの部門が利益を出しているかを特定し、不採算部門の早期撤退や成長分野への投資判断をスピーディーに行えるようにします。
実際に、このステップを踏んだ建設業の事例では、試算表の早期化と部門別管理の導入により、どの部門に注力すべきかが明確になり、適切な投資を行った結果、経理代行導入前は売上10億円でしたが、3年後には14億円へと152%の成長を遂げています。
導入後のコミュニケーションツール(チャット・Zoom等)の活用
アウトソーシング導入後に経営者が最も懸念するのは「社外とのやり取りに時間がかかるのではないか」という点です。これを解消するため、ハイレベル経理代行ではChatworkやLINE WORKSといったチャットツールをフル活用します。
電話や郵送のタイムラグを排除し、原則として1日以内(理想的には数時間以内)のクイックレスポンスが可能な体制を構築します。また、単なる作業報告だけでなく、新しいクラウドツールの操作方法が分からない場合には、Zoom等をつないでリアルタイムでレクチャーを受けることも可能です。
このように、複数名のチーム体制でサポートすることで、担当者の不在による「待ち時間」をゼロにします。経営者は移動中や出先からでも、スマートフォンひとつで振込データの承認や経営数値の確認ができるようになり、事務作業に費やす時間を最大90%削減(月30時間から2〜3時間へ)することが可能になります。
まとめ:経理アウトソーシングで「バックオフィス」を強固にする

経理アウトソーシングは、単なる「コスト削減」の手段ではありません。企業の成長を支えるための「最強の経営コックピット」を手に入れるための戦略的な投資です。
「まだ自社は大丈夫」と改善を先延ばしにしている間に、経理担当者の退職によって体制が崩壊し、ゼロからの再構築に高額な費用がかかってしまうケースは少なくありません。経理がブラックボックス化し、経営数値が見えない状態は、目隠しをして経営をしているのと同じです。
今こそ「経理を雇う」から「選ぶ」という発想へ転換し、24時間365日止まらない強固なバックオフィスを構築しましょう。
船井総合研究所の「経理代行セレクション」では、全国から厳選したハイレベルなパートナーをご紹介し、貴社が次の成長ステージへ進むための伴走支援をいたします。少しでも経理に不安を感じた今こそ、まずは無料相談で現状を整理することをお勧めいたします。
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坂田 知加会計事務所向けコンサルティングに従事し、全社において女性最速・最年少で管理職に昇進。これまで全国300以上の会計事務所に関与。「企業レベルと税理士レベルのミスマッチ」を解決したいという想いより、現在は成長企業とハイレベル会計事務所のマッチングを行っている。








