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税理士の賢い選び方
公開日:2024.06.27
更新日:2024.06.27

【2024年最新】歯科医院・開業成功の秘訣|収益モデルや経営環境、開業手順を解説!

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歯科医になり、勤務医としてある程度技術を習得し、開業資金も貯まってくると、いよいよ開業しようとお考えになる方は多いのではないでしょうか。 

弊社でも歯科医院の開業を検討されている歯科医師の方からよくご相談をいただいております。 

 

そこで本記事では、歯科医院の開業を成功に導くために知っておきたい収益モデルや歯科医院を取り巻く経営環境、開業手順について、最新のデータを紐解きながら解説していきます。 

独立開業を検討されている方は、ぜひご覧ください。 

歯科医院を取り巻く経営環境

ここでは、歯科医院の開業にあたって把握しておきたい、業界動向について解説します。

歯科診療所数は減少傾向

引用:e-Stat 政府統計の総合窓口「令和4年医療施設(動態)調査 全国編、第5表(報告書第5表) 歯科診療所数,年次・開設者別」 

https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0004011944 

 

歯科医院の診療所数は、2017年の68,609施設をピークに、2021年は67,899施設と若干減少傾向にあります。2017年から診療所数は初めて増加から減少に転じました。 

 

その要因として、「保険点数の改悪」や「診療圏の人口減少・過疎化に伴う患者数の減少や人材の確保の難しさ」、そして「DX化への投資の困難さ」などが考えられます。さらに、院長の高齢化や人件費・材料費の高騰による赤字化などの内部要因も影響しています。 

 

これらの要因から、中長期的には診療所数はさらに減少すると予測されます。 

 

 

令和4年の医療施設調査によると、歯科診療所の開設数と廃止数は、2017年に初めて廃止数(オレンジ折れ線)が開設数を上回る結果となりました。2022年の速報値でも、開設数は1,333、廃止数は1,410と廃止数の方が多くなっています。 

 

今後も外部要因と内部要因の影響で、廃止数が開設数を上回る傾向が続くと考えられます。 

歯科医師数は微増傾向

(出所:令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/22/index.html) 

 

厚生労働省がまとめた「医師・歯科医師・薬剤師統計」によると、20221231日時点での歯科医師数は105,267人で、前回調査時である2020107,443人と比べるとおよそ2.0%減少しています。しかしながら、2010年からの直近10年前後を見れば、歯科医師数は微増傾向で推移していることが分かります。 

 

診療所数は減少傾向であるが、歯科医師数は微増傾向であることから、1つの歯科医院に複数名の歯科医師が勤務する形態が増えてきている可能性が考えられます。 

医療法人と個人事業主数の推移

引用:e-Stat 政府統計の総合窓口「令和4年医療施設(動態)調査 全国編、第5表(報告書第5表) 歯科診療所数,年次・開設者別」 https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0004011944 

 

過去20年間で、歯科業界の医療法人数は、7,499件から16,241件と約2倍に増加しています。一方で個人事業主として続けている歯科医院は2005年の57,110件をピークに減少傾向にあり、現在は50,896件となっています。 

 

一般的に、医療法人化する歯科医院は、個人クリニックよりも売上が大きく、売上も増加傾向にあったり歯科医師の採用も積極的に行っていたりケースが多いです。そのため、将来や事業拡大を見据えて医療法人化し、戦略的投資を行う歯科医院と、現状維持または縮小を続ける個人クリニックとの二極化が進んでいることが予想されます。 

歯科医院の開業の割合や平均年齢

ここでは、歯科医院の開業について解説します。歯科医師全体における開業の割合や、開業に際しての立地モデルについて知っておくことで、開業の心構えや経営上の選択に役立てることができるでしょう。以下で詳しく説明していきます。

歯科医院の開業の割合

医療施設の従事者(歯科医師数)・内訳 2022年 2020年
病院の従事者 11,662 12,329
代表または開設者 33 19
勤務者 11,629 12,310
病院のみの開業率 0.3% 0.2%
診療所の従事者 90,257 91,789
代表または開設者 56,767 58,867
勤務者 33,490 32,922
診療所のみの開業率 62.9% 64.1%
病院と診療所の従事者の合計 101,919 104,118
代表または開設者 56,800 58,886
医療施設全体の開業率 55.7% 56.6%

 

(出所:令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況 表11 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/22/index.html) 

 

厚生労働省の統計によると、歯科医師の総数105,267人のうち、病院もしくは診療所に勤める「医療施設従事者」の歯科医師は101,919人となっています。 

そのうち、病院の代表または開設者は33人、診療所の代表または開設者は56,767人となっており、医療施設全体の開業率は55.7という数値になっています。 

前回の調査より開業率は約1%下がっており、特に診療所の開業率が減少傾向にあります。

歯科医師の平均年齢からみる開業の平均年齢

病院・診療所の計 構成割合 病院 構成割合 診療所 構成割合
総数 101,919 100.0% 11,662 100.0% 90,257 100.0%
29歳以下 5,963 5.9% 3,348 28.7% 2,615 2.9%
30~39歳 16,942 16.6% 3,899 33.4% 13,043 14.5%
40~49歳 20,217 19.8% 1,915 16.4% 18,302 20.3%
50~59歳 22,398 22.0% 1,411 12.1% 20,987 23.3%
60~69歳 23,566 23.1% 975 8.4% 22,591 25.0%
70歳以上 12,833 12.6% 114 1.0% 12,719 14.1%
平均年齢 53.0歳 39.3歳 54.8歳

 

歯科医師の開業年齢に関する明確な統計データはありませんが、施設の種別に見た歯科医師の年齢を参考に見てみましょう。 

 

病院と診療所では歯科医師の構成割合や平均年齢が異なり、病院に勤める歯科医師は3039歳が最も多く33%を占め、平均年齢39.3歳となっています。一方、診療所に勤める歯科医師は6069歳が最も多い25.0%で、平均年齢は54.8歳となっています。 

 

一般的には、病院などでまずは研修医・勤務医を務め、開業していくケースが多く、35歳以降、40歳前後で開業を検討される方が多いでしょう。 

歯科医院の開業で成功する秘訣

ここでは、歯科医院の開業で成功するために知っておきたいポイントを解説します。

歯科医院の収益モデル

歯科医院の売上目標は、都市圏か地方かで異なりますが、基本的には歯科医院の物理的な大きさから売上目標を立てることができます。


そのため、どの程度の売上を目指したいのか、自己資金をいくら用意できるのかなどから、医院に必要な広さ・立地を検討していきましょう。

1.年間売上6,000~8,000万円モデル

チェア数 

34 

坪数 

30坪未満 

開業時の自己資金目安 

2,000万円 

院長年収イメージ 

1,3001,800万円 

 

こちらのモデルは、大都市圏や政令指定都市部でよく見られる収益モデルで、一般的には一等立地と言われる駅前や通行量の多い1階店舗、ロードサイドでの開業が最適です。 

 

多くの歯科医院は10年程度でこの段階に到達しますが、主要な道から少し外れた場所や2階以上の店舗など二等立地以下では厳しい戦いになることが予想されます。 

 

このスケールの物件は居抜き物件として出回ることも多くありますが、過去に歯科医院が廃業して売りに出されるようなケースもあるため、立地特性などを十分に見極める必要があります。 

 

また、このモデルの特徴は、テナント料や人件費が高額になりがちで、診療体制も保険診療が主体であり、インプラントや矯正など高度な治療を提供することは難しいことが多いです。現状維持を続けると、十数年後には患者から「昔ながらの歯科医院」というイメージを持たれる可能性があります。 

 

そのため、ある程度安定して売上が立つようになった際には、第二創業期として積極的な投資が必要になってくるでしょう。 

2.年間売上1~2億円モデル

チェア数 

58 

坪数 

50坪以上~100坪未満 

開業時の自己資金目安 

3,000万円 

院長年収イメージ 

1,8003,000万円 

 

こちらのモデルは、中都市圏や郊外のロードサイド立地などでよく見られる収益モデルです。医療法人化を検討・実施し始めるゾーンになります。


地域によっては自宅兼診療所として営業しているケースも多くあります。自宅を兼ねる場合はテナント料がかからないため、経営面では好条件といえます。しかし、テナント料が発生する場合は毎月50万円、年間600~1,000万円の負担が発生します。


人員体制は勤務医2~3名、歯科衛生士3~5名で構成され、全体で約20名の組織になります。診療体制は保険診療が7割程度、自費診療が3割程度で、高度治療においてもインプラントや矯正などの専門性を持つことが求められます。


このモデルでは、売上だけでなく利益も十分に確保できるため、設備投資や人材採用に投資が可能です。予防分野の強化により安定した患者数を見込むことができ、医院経営に高い利益率をもたらします。


この段階に達すれば、資金調達も比較的容易であり、金融機関からの融資も受けやすくなります。


年齢的には40~45歳でこの段階に到達すると、その後の年代も安心して迎えられる可能性が高まるでしょう。

3.年間売上2~4億円モデル

チェア数 

10台以上 

坪数 

100坪以上 

開業時の自己資金目安 

4,000万円 

院長年収イメージ 

3,000万円~ 

 

こちらのモデルは、主に地方商圏で地域のリーダーとして躍進する歯科医院が位置する収益モデルです。地方商圏であるため、テナント料は比較的高くないため、売上に対する効率性が高まります。 

 

人員体制は勤務医5名以上、歯科衛生士が10名程度で、総勢40名程度の組織となってきます。 

 

一般診療からインプラントや矯正などの高度な治療、訪問診療まで行う総合的な歯科医院になるのが一般的です。

 

マネジメントの観点では、医師やスタッフの人数が増え、院長や理事長だけでは目が届かなくなるようになります。そのため、職種ごとのリーダー育成ビジョンの提示が必要になってきます。家族経営から企業経営へ移行させるタイミングにもなるでしょう。 

 

このように、坪数などからある程度売上や組織の傾向は読めるため、開業時の目標設定、物件選定の参考にするとよいでしょう。 

 

歯科開業における2つの診療タイプ

歯科の診療タイプは、保険診療自由診療とに大別され、開業時にどちらの診療タイプを中心とするのかは非常に重要なポイントです。以下で詳しく説明していきます。

保険診察中心タイプ

保険診察中心タイプは、多くの歯科医院が採用している診療タイプです。 

 

保険診察は、患者が治療費のわずか13割しか負担せずに済むため、多くの患者が利用しやすい特性があります。また、口腔健康を幅広くサポートできるため、社会的な貢献度も高いです。 

 

ただし、国が定めた治療費が比較的低く設定されているため、収益の観点からは課題もあります。そのため、保険診療を中心にしつつも、一部の治療に自費材料を用いたインプラント手術など自由診療を導入するケースが一般的です。 

自由診療中心タイプ

自由診療中心タイプは、保険適用が認められない高品質な材料(セラミックなど)を利用したり、最新の機材を導入したり、最新の治療法で患者をサポートすることが可能です。値付けを歯科医院が自ら設定できるため、高い収益を得ながら質の高い治療を提供できます。しかし、高額な治療費は患者を選ぶため、自由診療での売上を見込む場合は集患に力を入れなければなりません。多くの歯科医院では保険診察を中心に運営していますが、中には自由診療に特化した歯科医院も存在します。 

 

厚生労働省が実施した「第24回医療経済実態調査(2023年)」によると、歯科診療所の収益における自由診療の平均割合は21.4%、1施設あたり売上1,479万円となっています。

 

個人 医療法人 全体
金額 構成比率 金額 構成比率 金額 構成比率
保険診療 3,919 82.9% 7,842 70.6% 5,271 76.1%
自由診療(その他診療収益) 691 14.6% 2,986 26.9% 1,479 21.4%

 

厚生労働省が実施した「第24回医療経済実態調査(2023年)」よりデータを一部抜粋 

https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/database/zenpan/jittaityousa/24_houkoku.html 

医療法人と個人病院を比較すると、医療法人の方が自由診療の比率が高く、構成比率は約1.8倍多くなっています。 

ある程度の規模になると、必要な設備や最新技術を取り入れた治療を展開していることが伺えます。 

 

歯科医院の開業科目

こでは、歯科医院の開業科目について解説します。開業科目には「一般歯科」「小児歯科」「矯正歯科」「歯科口腔外科」などがあり、中には複数の科目を提供する医院もあります。近年では、歯や口の美しさに焦点を当てた「審美歯科も注目されています。以下で詳しく説明していきます。 

 

厚生労働省が実施した医師・歯科医師・薬剤師統計の状況(2022年)によると、主たる診療科目別に見た歯科医師数は下表のようになっています。

 

2022年 2020年 病院(2022年) 診療所(2022年)
歯科医師数 構成割合 平均年齢(歳) 歯科医師数 構成割合 平均年齢(歳) 歯科医師数 構成割合 歯科医師数 構成割合
総数 101,919 100.0% 53.0 104,118 100.0% 52.4 11,662 100.0% 90,257 100.0%
歯科 87,867 86.2% 54.3 89,717 86.2% 53.7 4,935 42.3% 82,932 91.9%
矯正歯科 4,294 4.2% 47.4 4,274 4.1% 47 871 7.5% 3,423 3.8%
小児歯科 2,017 2.0% 50.1 2,011 1.9% 49.7 419 3.6% 1,598 1.8%
歯科口腔外科 4,431 4.3% 43.3 4,413 4.2% 42.6 3,853 33.0% 578 0.6%
臨床研修歯科医 1,805 1.8% 27.7 1,987 1.9% 27.9 1,496 12.8% 309 0.3%

 

厚生労働省が実施した医師・歯科医師・薬剤師統計の状況(2022年) 

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/22/dl/R04_kekka-2.pdf 

 

複数回答別に見た歯科医師数は下表です。

 

2022年 2020年 病院(2022年) 診療所(2022年)
歯科医師数 構成割合 歯科医師数 構成割合 歯科医師数 構成割合 歯科医師数 構成割合
総数 101,919 100.0% 104,118 100.0% 11,662 100.0% 90,257 100.0%
歯科 91,986 90.3% 94,022 90.3% 5,969 51.2% 86,017 95.3%
矯正歯科 22,015 21.6% 22,502 21.6% 985 8.4% 21,030 23.3%
小児歯科 40,249 39.5% 42,144 40.5% 661 5.7% 39,588 43.9%
歯科口腔外科 30,368 29.8% 30,756 29.5% 4,210 36.1% 26,158 29.0%
臨床研修歯科医 1,805 1.8% 1,987 1.9% 1,496 12.8% 309 0.3%

 

厚生労働省が実施した医師・歯科医師・薬剤師統計の状況(2022年) 

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/22/dl/R04_kekka-2.pdf 

歯科

一般的な歯科診療を行う歯科は、診療所では91.9%の医院が主たる診療科目として運営しています。 歯科は、診療科目ごとに専門性が高いため、1人で複数の診療科目を担当するのは難しく、3以上の診療科目を提供する医院では、複数の歯科医師が常駐していることが一般的です。 

矯正歯科

矯正歯科では、歯並びを治療する矯正治療を専門に行い、矯正歯科を主たる診療科目としている診療所は全体の約3.8しかいません。 

 

矯正治療は通常自由診療となり、治療期間が長く、患者との関係も密接です。 

 

先ほどの医師・歯科医師・薬剤師統計状況によれば、複数選択で診療科目を回答したデータでは、矯正歯科医師数は全体の23.3%を占めており、矯正歯科専門より、一般的な歯科診療と併設している医院が多いことが伺えます。 

小児歯科

小児歯科は、子どもの歯の治療を専門とします。子どもの歯は成長段階にあり、大人の歯とは異なる配慮や処置が必要です。治療内容だけでなく、医院の雰囲気や設備も子どもに適したものになっています。 

 

小児歯科を主たる診療科目としている診療所は、全体の1.8%となっており、複数選択で診療科目を回答したデータでは、43.9%の歯科医院に小児歯科が併設されていることがわかります。 

歯科口腔外科

歯科口腔外科では、口腔内とその周囲の病気や外傷の治療を行います。親知らずの抜歯や口腔内の疾患の治療が主な仕事ですが、大がかりな手術や口腔がんの治療も行います。 

 

口腔外科は病院に多く、主たる診療科目における「病院」の構成比では33.0%を占めている一方で、診療所では0.6%しかいません。 

 

複数選択で診療科目を回答したデータでは、診療所でも29.0%を占め、小児歯科に次いで多い科目となっています。 

審美歯科

審美歯科では、歯や口元の美しさに焦点を当てた治療を行います。歯を白くしたり、歯並びを整えたりする治療が含まれますが、基本的に保険が適用されない自由診療となります。審美歯科は診療科目としては認められていないため、情報発信には注意が必要です。

歯科医院開業における立地の重要性

歯科医院の開業に際しては、立地はとても重要です。船井総合研究所では、圧倒的一番化を実現するために大切な要素を「差別化の8要素」としてまとめていますが、立地は長期的かつ戦略的観点で最も重要な項目になります。 

 

立地の選択肢は、大きく一等立地二等立地の2種類に分類されます。 

 

一等立地とは、駅前や主要な幹線道路沿いなど、高い通行量が見込まれる場所です。これにより、歯科医院の知名度を高めることができますが、その一方で、不動産情報が限られるためテナント料が高騰しやすく、スタート時の資金繰りに配慮する必要があります。 

 

二等立地とは、一等立地と異なり、一般的な生活圏ではあまり目にすることがない場所を指します。そのため、積極的で効果的な広告や看板の利用が必要ですが、初期費用が削減できるという利点があります。 

 

一等立地と二等立地の特性を理解して、自身の歯科医院像に照らし合わせて判断していくことが重要となります。また、開業を予定する市町村の人口推移や動向の他、保険制度や平均点数、歯科衛生士求人などに関連した地域情報についても理解しておきましょう。 

失敗しない歯科医院の開業手順

ここからは、失敗しない歯科医院の開業手順について解説します。 

①事業戦略コンセプトを決める

歯科医院を開業する際には、事業戦略コンセプトをしっかり検討する必要があります。 

 

自身の得意な領域、歯科医院を通じて実現したいビジョン、目標売上、業界のトレンド、自身の目標年収、キャリアステップ等を総合的に加味してコンセプトを決めましょう。 

 

また、開業を検討しているエリア(地元や移転先)の患者の年齢層や生活イメージ(ビジネスマンが多いエリアなのか、子育て世帯が多いエリアなのかなど)に合わせて、コンセプトを検討するとよいでしょう。 

②開業エリアを選定する

次に、コンセプトに基づいた開業エリアを選定します。ターゲットとなる患者層が多く、今後も人口増加や通勤通学人口の増加が見込めるエリアを選ぶことが重要です。また、競合となる歯科医院の件数や診療科目の調査も事前に行っておくとよいでしょう。 

例えば、小児歯科を専門とする場合は、子育て世代の多い地域が適しています。インプラントや矯正など自費治療中心に行う場合は、高所得者層がいるエリアを選定するとよいでしょう。 

 

このように、エリアにある程度目星がついたら、次は物件探しに入ります。コンセプトに合致する物件を、融資可能な範囲で探します不動産エージェントや仲介業者と連携しながら、適切な物件を選定しましょう。 

また、医院の内外装やロゴなどのデザインも検討しておきましょう。コンセプトに沿ったイメージを表現することで、患者に対して好印象を与えることができます。 

これらのエリアの検討や競合調査に関して、船井総合研究所の歯科専門のコンサルタントがサポートしておりますので、お気軽にご相談ください。 

③事業計画書の作成

事業戦略やある程度の開業エリア・物件を検討したら、事業計画書を作成し、計画を立てましょう。 

 

事業計画書では、チェア数などから1日の来院数や月間の売上目標、必要な経費借入金額を想定し、計画を作成します。 

 

毎月の家賃や人件費、水道光熱費などの固定費を算出し、開業初期の費用も明確化します。加えて、歯科診療ユニットやX線装置などの診療機器、内装や看板、広告宣伝費など、ハード面にかかる費用も考慮します。 

 

現実的な売上目標を設定し、借入金の必要額毎月の返済額なども計画に含めます事業計画書は資金調達に欠かせないものです。 

 

また、開業資金の調達方法も検討する必要があります。一般的に歯科開業には約5,000万円が必要とされますが、そのうち自己資金は約1,000万円で、残りは融資を受けるケースが一般的です。(ただし、内外装工事費や運転資金はエリアやコンセプトによって異なるため、融資可能額の上限を把握した上で、範囲内での資金調達を計画しましょう。) 

 

歯科医院の開業にかかる費用の目安は下記のとおりです。 

 

項目 

費用 

医療機器・材料費 

2,000万円~3,500万円 

賃貸契約・内外装の工事費 

2,000万円~3,000万円 

立ち上げ初期の運転資金 

1,000万円~1,200万円 

採用・広告費 

150万円~400万円 

 

これらの事業計画を、勤務医を務めながらお一人で進めることは非常に難しいです。 

そのため、歯科医院の開業に強い専門のコンサルタントや税理士に依頼し、シミュレーションしてもらうとよいでしょう。 

④テナント契約

事業計画を策定し、物件に払える費用の目安が確定したら、テナント契約に進みます。将来を見越して必要なチェア数や設備を置ける広さがあるか、駅や街の中心部からのアクセスはよいか、患者が入りやすい環境か、看板はよく見える場所につけられるか、建物自体の清潔さや管理状態などを総合的に判断し、十分に検討したうえでテナント契約を進めるようにしましょう。

⑤医療設備の決定

コンセプトや、開業エリア・物件選定が決まったたら、次は医療設備の選定です。ユニットやX線装置、CTスキャナなど、必要な機器を予算内で選定します。


初期段階では最低限の設備を用意し、必要に応じて増設していくとよいでしょう。また、電子カルテやレセコンなどのシステム周りも検討します。近年ではクラウド型システムが注目されており、開業時に導入する医院も増えています。

⑥スタッフの募集・採用

開業に向けていわゆる箱が決まったら、スタッフの募集・採用といった人材確保に向けた取り組みも、資金調達や医療設備の準備と同じくらい重要です。 

 

歯科医院では歯科衛生士や歯科助手、歯科技工士などの人材が不可欠です。予め人件費にもいくらまで投資ができるのか、人件費率なども事業計画と合わせて税理士に算出してもらうとよいでしょう。

 

人手不足を防ぐために、計画的に募集と面接を行いましょう。 

⑦保健所への開設届け、保健所の検査・保険医療機関指定

歯科医院を開業する際には、保健所に開設届を提出する必要があります。 

 

この届出は、開業準備が整い業務を開始できる状態になった後、所在地の管轄する保健所に開設後10日以内に提出します。一般的に、開設日は診療を始める日ではなく、内装などの工事が完了し、業務を始められる状態になった日を指します。 

 

提出時には、診療曜日や時間などの詳細な情報が記載されます。提出後は、保健所が書類だけでなく実地検査を行う場合もあります。この検査では、各部屋の仕切りや設備の安全性などが法令に適合しているかどうかがチェックされます。 

 

保健所の審査が通過したら、地方厚生局に保険医療機関としての指定申請を行います。申請後、指定医療機関コードが発行されたら、保険診療を行うことができるようになります。この申請から発行までには通常1カ月程度かかります。また、保健所への届出から承認までには、一般的に2カ月程度の期間が必要です。そのため、実際に業務をスタートしたい日の3カ月前までには保健所に開設届を提出する必要があります。 

 

事前に管轄の保健所や地方厚生局の規則を調べ、計画的に進めましょう。 

 

これらの手続きも歯科医院の開業に長けた税理士に依頼すれば、関係者への連携も含めてサポートしてもらえます。 

 

開業を検討し始めたら、市場調査や競合調査などのマーケティングの相談は専門のコンサルタントに、事業計画や数値のシミュレーションは歯科医院に強い税理士に依頼するとよいでしょう。 

歯科医院の開業時に税理士をつけるメリット

ここでは、歯科医院が開業時に税理士をつけるメリットについて解説します。他の歯科医院を見てきた税理士のサポートを受けることで、さまざまな知見や税務会計・資金調達のサポートを受けることができます。 

他の歯科医院の事例をもとに様々なアドバイスをもらえる

開業時に税理士をつけることには、他の歯科医院の事例をもとに様々なアドバイスをもらえるメリットがあります。歯科業界に特化した税理士は、同業者の事例を数多く知っており、彼らの経験や知識を通じて、成功の秘訣や失敗を避ける方法について貴重なアドバイスを得られるでしょう。

歯科特有の税務会計のサポートを受けられる

開業時に税理士をつけることには、歯科特有の税務会計のサポートを受けられるというメリットがあります。 

 

役員報酬の設定や節税対策、人件費率や運転資金のシミュレーションなどに関するアドバイスをもらえます。適切な方法を知らずに進めてしまうと、無駄な税金を払ってしまったり、必要な金額以上に人件費や設備への投資を行ってしまい赤字になってしまったりします。

 

また、歯科特有の会計に合わせた経理体制構築のサポートも受けられます。近年ではクラウド会計を導入することで、少ない人数で経理を回す仕組みの構築も重要になっています。 

 

そのため、歯科特有の税務会計の専門的なアドバイスがもらえる税理士に相談しましょう。 

資金調達のアドバイスがもらえる

開業時に税理士をつけると、資金調達のアドバイスがもらえるというメリットもあります。開業時には多額の資金が必要ですが、その調達方法や資金の使い道についてのアドバイスを税理士から得ることができます。税理士事務所によっては、資金調達のための資料作成や金融機関との面談に精通しており、適切な資金調達のためのアドバイスが得意な事務所もあります。


資金調達のプロセスをスムーズに進め、開業時の財務リスクを最小限に抑えましょう。

歯科医院の開業・サポートに強いコンサルタント・税理士をお探しならお任せください。

本記事では、歯科医院開業を成功させるために知っておきたい経営環境や収益モデル、開業の手順について解説しました。 

 

歯科医院を独立開業する際には、徹底した事前準備が不可欠です。しかし、歯科医は専門である医療技術を持つ一方で、経営に関する専門知識を持っているわけではありません。そのため、開業に際しては歯科医院の開業・サポートに長けた専門のコンサルタント歯科医院に詳しい税理士に相談しましょう。 

 

外部の専門家のサポートを受けることで、スピーディーかつ確実に開業を進めることができます。 

 

船井総合研究所では、歯科医院のマーケティングのサポートを専門に行うコンサルティング部隊からのご提案や、歯科医院に詳しい税理士のご紹介を行なっています。 

 

ぜひお気軽にご相談ください。 

 

<おすすめ>無料お役立ち資料
成長志向の歯科医院の為の“税理士の選び方”
このような方におすすめ 今の顧問税理士で良いのか迷っている方 次の成長ステージへステップアップする為に、適切な顧問税理士を選びたい方 どのタイミングで顧問税理士を変えるのがベストなのか知りたい方 税理士事務所を選ぶ時の、見極めるポイントがわからない方 顧問税理士を変えた時の、税務調査、決算が心配な方 目次 1、税理士の選び方新常識 2、顧問税理士サービス品質診断 3、歯科医院の税理士変更の事例紹介(年商1億円/群馬県)|税理士を変更して、医療法人化を実現&税理士をパートナーと感じられるように 4、顧問税理士との付き合い方 5、税理士変更をされたお客様の声 レポートの想い とある歯科医院(年商1億円)は、税理士から成長のアドバイスが無かったため、税理士を変更したところ下記の変化がありました。 ・記帳代行をしてもらえるようになった ・毎月の打合せにより経営数字の推移がわかるように ・医療法人化も実現 成長を志す歯科医院が受けるべき税理士のサポートについて、事例を交えてご紹介しております。 このレポートを読むメリット 成長支援をしてくれる会計事務所の選び方がわかる 現在の顧問税理士との付き合い方を見直せる 税理士変更の前後で会社がどう変わるかがわかる ダウンロード特典 【無料】税理士に関する無料個別相談(Web)   1回60分程度の無料個別経営相談にご参加いただけます。 Web開催ですので、スキマ時間に会社やご自宅からご相談いただけます。   ご希望の方は、資料ダウンロードの際「個別相談」にチェックしてください。 ぜひお気軽にご活用くださいませ。    …
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WRITER
赤澤 勇樹
大学卒業後、外資系保険会社に入社。年間200社を超える企業へ法人向けの事業保険を活用した財務強化・決算対策のソリューション提案を行う。その後ヘッドハンティング会社を経て、船井総研に入社。 前職の経験を活かし、『成長企業が付き合うべきパートナー』を紹介すべく、税理士事務所紹介を行っている。 企業の抱える課題を共に解決すべく年間300件近くの経営相談を受け、様々な業界業種の企業への税理士紹介実績をもつ。
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税理士を変更したことで、財務体質の改善や
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税理士セレクションの想い
~企業と税理士のミスマッチを解決したい~
弊社では全国約6,500の中小企業様及び約300の会計事務所様とのお付き合いをさせていただいておりますが、成長意欲の高い中小企業の皆さまとハイレベル会計事務所のミスマッチが発生していることを痛感しておりました。
弊社のお客様は成長志向の企業様が多く、経営者や経営幹部のレベルは高いのですが、税理士だけは年商2~3億規模の企業と変わらない…というケースが非常に多くございます。実際、弊社では税理士変更支援を公には告知していないにも関わらず、過去数々の税理士変更のご相談を頂戴しております。
船井総研会計業界専門コンサルタントが皆様の顧問税理士に関するお話しを伺い、税理士変更をすべきか否かのアドバイスをさせていただきます。また、税理士変更をご検討の際にはハイレベル会計事務所を選定しご紹介を行うことにより、皆さまの事業成長の後押しをしてくれる真のパートナー探しの一助になれればと考えております。