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【完全保存版】月次決算のチェックリストでミス防止!早期に作成する仕組み
月次決算とは、経営管理に必要な情報を提供することを目的に、事業年度末に行う年次決算とは別に毎月行われる決算を指します。
月次決算は、企業の迅速な意思決定や業務改善に役立てることができるため、安定した経営を目指す上で欠かせません。月次決算は期日通りに正確かつ迅速に行う必要があり、チェックリストを作成することでスムーズに作成が可能となります。
本記事では、月次決算のチェックリストにおいて確認すべき項目や、早期の月次決算作成に向けたポイントについて紹介していきます。経理業務の効率化を検討している経営者様は、ぜひ参考にしてみてください。
月次決算作成時によくある課題
ここでは、月次決算作成時によくある課題について紹介します。月次決算の課題には、経費計上に時間がかかることや、確認作業に時間がかかるといった点が挙げられます。
以下で詳しく説明していきます。
①経費計上に時間がかかる
月次決算作成には、経費計上に時間がかかるという課題があります。月々の売上や仕入・経費などを管理している部署は1ヵ所とは限りません。部署単位、支店単位、プロジェクトチーム単位など、企業によって管理する部署の単位は異なります。
月次決算においては、複数の管理部署から会計データを収集し、全体の集計を行うことに多くの時間を要します。売上や仕入・経費の件数や取引先が多くなるほど、期日通りに月次決算を作成することが困難になります。
②確認作業に時間がかかる
月次決算作成には、確認作業に時間がかかるという課題があります。月次決算は年次決算と同様、現金・預金の残高と帳簿上の残高との突合、棚卸資産の数や仮勘定の整理、借入金の返済予定表と帳簿残高の突合など、勘定科目ごとに細かな突き合わせ作業が必要です。帳簿上の残高と実際の残高が一致しない場合、管理部署の担当者まで遡って確認が必要なケースもあるため、突き合わせ作業は繁雑かつ時間を要します。また、ヒューマンエラーを防止する観点から複数の担当者でチェック作業を行う必要もあるため、多くの時間と労力が必要となります。
月次決算のチェックリストで重要な項目
ここでは、月次決算のチェックリストで重要な項目について解説します。月次決算における確認事項は非常に多いため、勘定科目ごとにチェックすべき事項を確認しましょう。
また、最終的な試算表などの作成においては、勘定科目がマイナス残高になっていないか、貸借が一致しているかといった点に留意しましょう。以下で詳しく説明していきます。
現金・預金
☑小口現金出納帳の集計・残高や、帳簿上の預金残高と通帳の預金残高に差異はないかを確認しましょう。
差異があった場合には、原因の確定・修正を行い、帳簿へ記載するようにしましょう。
売掛金・買掛金
☑未収・未払の売掛金・買掛金は無いかを確認するようにしましょう。
未収・未払の売掛金・買掛金があった場合、担当者に対して回収依頼や支払依頼をしているかも併せてチェックしましょう。
仮払金・借受金
☑仮払金・借受金の勘定科目においては、当月清算分の振替を行ったかを確認しましょう。
振替処理が未済である場合、担当者に対して確認して必要な会計処理を行いましょう。
棚卸資産
☑月末時点の商品在庫と帳簿在庫に差異はないかを確認しましょう。
社外に商品在庫がある場合、抜け漏れが起こりやすいため注意が必要です。また、不良品や納品ミスなどで返品扱いになっている商品がある場合、適切な会計処理が行われているかも確認しましょう。
固定資産
☑年間の減価償却費や引当金を12か月で按分した金額を分割計上しているか確認しましょう。
☑取得価額が10万円未満の少額減価償却資産や、取得価額が10万円以上20万円未満の一括償却資産に関して、適切な会計処理が行われているかを必ずチェックしましょう。
借入金
☑棚卸資産の勘定科目においては、短期借入金・長期借入金の残高が返済予定表残高と一致しているかを確認しましょう。
☑毎月の返済時における元金と利息の仕訳が適切に行われているかをチェックしましょう。
未払金・預り金
☑月末時点での未払金額と帳簿残高に相違がないか確認しましょう。
未払給与の残高の確認や、所得税や住民税の残高と当月給与預かり分の金額との突合も重要なチェック項目です。
経過勘定
☑経過勘定の会計処理も必ず確認しましょう。
次月以降に支払・受取があるものに関しては、未払費用や未収収益の経過勘定科目を用いて適切に計上しましょう。
月次決算を早期作成するための仕組みとは
ここでは、月次決算を早期作成するための仕組みについて解説します。月次決算の早期化に向けては、業務を細分化して洗い出し、締切日を周知・徹底することが重要です。また、必要に応じて作業の自動化やクラウドシステムの導入も検討してみましょう。以下で詳しく説明していきます。
月次決算業務を細分化する
月次決算を早期作成するために、まずは業務を細分化してみましょう。部内で対応している業務を棚卸しすることで、各担当者の月次決算における業務を洗い出し、月次決算を作成するために必要な業務内容・担当者・締切日などを明確にしましょう。これにより、全体の業務量や担当者間で業務量が偏っていないかなどを可視化することができます。
また、その業務ごとに進捗状況が確認できるようなチェックリストを作成することで、全体の進捗が一目で分かるようになります。業務によって進捗状況が芳しくない場合、他の担当者によるフォローも迅速に行うことができるようになるため、全体の効率化に大きく影響します。
経費の締切日を徹底する
月次決算を早期作成するために、経費の締切日を徹底しましょう。各部署における経費入力が遅れることで、月次決算に必要な資料も後ろ倒しとなります。請求書・納品書・経費精算などの月次決算に必要な資料については、期限内の提出ルールを徹底しましょう。また、社外の取引先に対しても請求書発行等の期限を遵守してもらえるように交渉することも重要です。
月次決算スケジュールを社内で共有する
月次決算を早期作成するために、月次決算スケジュールを社内で共有しましょう。経費の締切日等が守られない原因には、月次決算スケジュールが周知されていないことが挙げられます。必要書類の締切日が遅延することで、月次決算の作成にどのような影響を及ぼすのかを理解できるように、月次決算スケジュールを社内で共有しましょう。月次決算は会社おける重要な業務であることを周知し、早期作成のための期限厳守に協力してもらうようにしましょう。
クラウドシステムを導入する
月次決算を早期作成するために、クラウドシステムを導入も検討しましょう。社内の会計システムをクラウド化することで、月次決算作業を迅速化することができます。クラウドシステムは、インターネット環境があればどこからでもアクセスできるため、複数の管理部署がある場合であっても、経費データを各自直接入力することが可能です。これにより、経費計上の取り纏めや確認作業の大幅な効率化に繋がり、月次決算の早期化に大きく役立ちます。
またクラウド会計は、インターネットバンキングやクレジットカードのデータを自動取り込み&自動仕訳することができ、クラウド経費精算システムとの連携もできる為、経理担当者の入力を減少することができます。
入力工数を削減できる分、経理担当者が確認等に時間を使うことができるようになるため、やはり月次決算の早期化につながります。
まとめ
本記事では、月次決算のチェックリストにおいて確認すべき項目や、早期の月次決算作成に向けたポイントについて紹介していきました。月次決算は、チェックリストを作成・運用することで抜け漏れを防止し、早期作成が可能となります。月次決算のチェックリストを作ることで、経営課題の早期発見や年次決算におけるミスの事前防止など、多くのメリットが得られます。
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自社だけで月次決算を導入しようとすると、躓くことが多いかもしれません。そこで、税理士にサポートしながら月次決算ができる体制を整えることをおすすめしています。
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石原 佑哉
新卒で船井総研へ入社以来、HR領域のコンサルティングで全国各地・様々な業種の企業の成長支援を行ってきた。
その中で成長企業ほど会計周りの業務効率化や決算・税理士に関する悩みが多かったことから、”企業レベルと税理士レベルのミスマッチを解決する”という事業コンセプトに共感し、成長企業とハイレベル会計事務所をマッチングする税理士セレクション事業のメンバーとして活動している。
現在は多くの業種のコンサルティングに携わった知見を活かし、業種・企業規模に応じた課題を解決するべく、年間200件以上のご相談に対応している。