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- 税理士の賢い選び方
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公開日:2024.02.09更新日:2024.03.11
【2024年版】中小企業の税理士の選び方とは?失敗しないために知っておくべきポイントや事例を解説
船井総合研究所では、中小企業の経営者様から税理士に関するご相談を年間500件以上いただいております。
また、毎年、弊社のお客様向けに中小企業と税理士のリアルなお付き合い状況を把握する「顧問税理士実態大調査」を実施しており、税理士に関するお悩みやお付き合い状況のデータを蓄積してまいりました。
そこで、本日は中小企業と税理士のリアルなお付き合い状況、よくあるお悩み、中小企業の税理士の選び方や失敗しないために知っておくべきポイントを解説してまいります。
中小企業と税理士のリアルなお付き合い状況
税理士を変更したことがない中小企業は50.3%
船井総合研究所・税理士セレクションが2023年10~11月に実施した「顧問税理士実態大調査2023」によると、
税理士を変更したことがないと回答した企業は、全体の50.3%と、約半数の中小企業が税理士を変更したことがないという結果でした。
また、「税理士を1回変更したことがある」と回答した企業は35.8%となっており、中小企業の多くが「ほとんど税理士変更をしていない」という状況でした。
<回答数>
※151
<回答者属性>
※業歴10年以上:81.4%
※年商規模1~5億円企業が43.7%、10億円以上が27.8%
成長企業は、「税理士変更回数」がやや多い
また、昨年より売上が伸びている成長企業と、昨年より売上が減少している売上減少企業を比較した所、成長企業の方が「税理士を1回でも変更したことがある」と回答した企業が、売上減少企業よりやや多い結果となりました。
成長企業は、税理士変更を「2~3回変更したことがある」と回答した企業、「4回以上変更したことがある」と回答した企業が、売上減少企業より多い結果となりました。
成長企業は、「税理士との面談頻度」が高い
さらに、成長企業と売上減少企業の税理士との付き合い方に関して比較した所、成長企業は毎月面談を実施している層が49.4%、3ヶ月に1回ペースも含めると定期的に打ち合わせをしている層は75.9%でした。
一方で、売上減少企業は毎月面談をしている層が30.4%、3ヶ月に1回ペースも含めた打ち合わせをしている層は47.8%と、成長企業ほど、税理士との面談頻度が高いことがわかりました。
これらの結果から、成長企業ほど、税理士を変更し、定期的な面談を行うなど、密なコミュニケーションを取っていることがわかります。
中小企業と税理士に関するよくあるお悩み
中小企業と税理士に関するよくあるお悩みとしては、下記のようなご相談をいただくことが多いです。
▶ 今の税理士は申告書作成だけで決算対策の提案がない‥
▶ 毎月早く試算表を把握したいが、税理士の提出が遅い‥
▶ 税理士に質問や相談をしても、レスポンスが遅い‥
▶ キャッシュフロー予測や資金繰りについて、税理士から提案をしてもらえない‥
▶ こちらから言わないと節税対策や補助金などに関するアドバイスをしてくれない…
▶ 会社の未来を一緒に考えてくれる税理士に相談したい‥
これらの問題は、他の税理士とサービスを比較・検討することで解決ができるかもしれません。
中小企業の税理士の選び方
成長ステージに応じてお付き合いする税理士を変える
「以前より事業規模が大きくなったのに、創業当時から同じ税理士に依頼している」
「税理士からのサポートに物足りなさを感じてきた」
という場合は、企業の成長ステージと税理士のレベルにギャップが生じてきているタイミングかもしれません。
創業期・成長期・成熟期・衰退期など、企業の成長ステージに応じてお付き合いしていく取引先やシステム等が変わるように、税理士から受けるべきサポートも変わってきます。
自社の売上規模や成長ステージが変わってきたら、より良いサポートを受けるために他の税理士の話を聞いてみるのも一つでしょう。
税理士に依頼できるサービスを知る・比較してみる
成長ステージにあったサポートを受けるにあたって、まずは「他の税理士事務所ならどのようなサポートを受けられるのか」、「他の税理士事務所のサービスを知ること・比較すること」から始めてみましょう。
普段、顧問税理士以外の税理士と話す機会がないため、「他の税理士がどのようなサポートをしてくれるのかわからない」「自社の顧問税理士が適切なのかわからない」といったご相談をいただくケースが多いです。
そのため、税理士紹介サービスやインターネットを使って、他の税理士を知る・比較することから始めてみましょう。
中小企業が税理士に依頼できるサービス例
税理士事務所によって得意なテーマや業種、対応できるサポートは異なりますが、一般的なサービス例をご紹介します。
税務顧問・決算申告
毎月の会計業務や税務を支援する契約で、税理士の基本的な業務の一つです。法人税や消費税などの税務申告書の作成や提出、企業が税務面で直面する様々な課題に対してサポートをします。
ほとんどの中小企業が依頼している業務ですが、業歴が長い企業の場合、「決算申告のみ」依頼されているケースもあります。創業期は、「決算申告」のみで問題なかったかもしれませんが、遅くとも年商3,000万円を超えたら「税務顧問と決算申告」をセットで依頼するとよいでしょう。
経理代行・記帳代行などのアウトソーシング
一部の税理士事務所では、煩雑な経理業務や記帳業務を外部委託するサービスを提供しています。
具体的には、仕訳入力や勘定科目の管理、月次決算業務、振込業務や請求書発行業務などをアウトソーシングすることができます。外部の専門家に業務を委託することで、企業は専門性の高いサービスを、社内で経理を雇うよりもリーズナブルな価格で利用できます。また、社内教育や人材育成にかかる負担を軽減しながら、業務効率や精度を向上させることができ、企業内のリソースを他の業務に集中できるようになり、業務効率化やコスト削減に貢献できます。
経理改善・クラウド会計導入サポート
税理士事務所によっては、昔ながらのやり方のまま属人化している経理業務を洗い出し、整理・改善サポートしてくれる事務所もあります。
業歴の長い企業などでは、経理担当者が、昔ながらの紙帳票やExcelを多用するやり方のまま経理業務を進めているケースがあります。このようなケースに対して、一部の税理士事務所では、業務フローを整理し、クラウド会計の導入やクラウド会計と既存のソフトとの自動連携を支援し、業務効率化に貢献します。
こうした取り組みにより、企業は経理業務にかかる時間やリスクを削減し、適切な経営判断のためのデータをリアルタイムで把握することができます。
節税対策
経営セーフティ共済や長期平準保険、社宅家賃の導入、401Kの活用や旅費規程の作成など、企業の状況に応じて積極的に節税提案をしてくれる事務所もあります。
適切な節税対策によって、税金の負担を軽減し、経営資源を効果的に活用することが可能となります。
税務調査のサポート
税務調査時には、税理士が企業や個人を代表し、税務当局とのコミュニケーションを行い、必要な文書や資料の提出をサポートします。
遠方の税理士とお付き合いしている場合でも、税務調査時には訪問サポートを受けられることが一般的です。
また、税務調査に特化した税理士事務所に相談した所、1億円の追徴課税を回避した成功事例もあります。税務調査に不安がある場合は、国税庁出身の税理士や、そうした税理士を抱える事務所に相談するとよいでしょう。
資金調達に関する情報提供・資金繰り表の作成
一部の税理士事務所では、金融機関に評価されやすい決算書や事業計画書、資金繰り表の作成、金融機関向けの説明資料の作成等を依頼できます。今後の資金調達を見据えて、金融機関から評価される決算対策を実施したい場合は、銀行出身者が在籍する税理士事務所や、金融機関対策を得意とする税理士事務所に相談するのが良いでしょう。
また、国や各自治体の補助金・助成金、ベンチャーキャピタルやクラウドファンディングなど、多様な資金調達の選択肢から最適な方法を提案してくれる事務所も存在します。
事業承継や相続に関するサポート
一部の税理士事務所では、事業承継や相続に特化しサービスを提供しています。
税理士試験には「事業承継」や「相続」に特化した科目はないため、対応できる税理士 / できない税理士が明確に分かれます。特に事業承継に関しては、経験が乏しい税理士が多いのが実状です。いわゆる町の会計事務所の平均顧問先は100件ほどのため、顧問先が事業承継を経験したことがあるのは0~1件といったケースも多いです。そのため、今後ご子息やご親族、社員の方に事業継承を検討されている場合は、事業承継に長けた税理士に相談することが有益です。
同様に相続に関しても、得意/不得意が税理士によって異なるため、ノウハウを持つ事務所への依頼が望ましいでしょう。
M&AやIPOなどのサポート
これらも一部のハイレベルな会計事務所しかサポートができない内容になります。
M&Aに向けた税務DD(デューデリエンス)・財務DD・労務DD(社労士事務所を抱える会計事務所のみ対応可能)や、IPOに向けた経理体制の構築などは、規模の大きな顧問先、事業拡大に積極的な顧問先を抱える中堅会計事務所であればサポートしてもらえます。
このように、税理士事務所によって提供できるサポートは様々で、提供できる事務所/提供できない大きく異なる為、自社に合ったサポートが受けられる税理士を一度比較・検討してみましょう。
税理士選びで失敗しないために確認すべきポイント
税理士の得意な業種やテーマを知る
税理士事務所によって得意な業種やテーマは異なります。そのため、「歯科やクリニックに特化している」「住宅・不動産業界の顧問先が多い」「クラウド会計のサポートに長けている」「事業承継専門のチームがある」など税理士事務所によって異なる特色をまずは把握しましょう。
HPにわかりやすく特徴や実績を掲載している事務所であれば、安心です。HP等ではわかりにくい場合、その事務所について詳しい人(事務所と付き合っている経営者や、事務所のことを良く知る業界関係者・税理士紹介サービス担当者等)に聞いてみるのが良いでしょう。
自社より一歩先を行く顧問先を持っているか確認する
自社より売上が大きい顧問先や、自社が今後取り組んでいきたいテーマを実施している顧問先(クラウド会計やM&A、IPOなど)がいるかも重要です。
先行事例を持つ税理士事務所に依頼することで、経営計画や事業展開を円滑に進めるサポートを受けることができます。
成長ステージに合ったサポートを提案できるか確認する
今後事業承継や相続、IPOなどをお考えの経営者様の場合、現在のニーズだけでなく、将来の展望に基づいた提案を行えるかどうかも確認することが重要です。
年齢が近い税理士がいるか確認する
経営者と年齢層が異なる税理士の場合、気軽に相談しにくい状況が生じることがあります。そのため、年齢が近い税理士がいるかも確認するとよいでしょう。
若い税理士が多いと、クラウド会計など最新のテクノロジーに柔軟に対応できる事務所が多いです。
中小企業の税制に詳しいか確認する
中小企業は、大企業とは異なる税務や財務の課題に直面することがあります。中小企業の税制に詳しい税理士であれば、中小企業向けの節税策や経営支援に特化しており、税制上の優遇措置や中小企業限定の税制メリットなどを説明してもらえます。
レスポンスが早い税理士を選ぶ
税理士に連絡した際、レスポンスが早いかどうかも重要です。昔ながらの税理士事務所の場合、
相談・連絡してから返答をいただけるまでに1週間もかかることも少なくありません。
複数名でのサポート体制を持ち、チャットやメールを活用する事務所では、即時のリアクションが期待できます。急を要する税務上の問題や疑問にすばやく対応してもらえると、スムーズで円滑な業務遂行が可能となります。
経営者に寄り添って対応してくれる税理士を選ぶ
経営者に親身に寄り添ってもらえるかどうかも選ぶ際に確認すべきポイントです。税理士業界は閉鎖的な業界特性もあり、昔ながらの税理士事務所の場合、高圧的な態度で接してくるケースもあります。
そのため、経営者に親身に寄り添ってくれるかどうか、経営者の意図を汲んで柔軟に対応してもらえるかどうかも相談時に確認するとよいでしょう。
中小企業に最適な税理士を探すなら
本日は、中小企業と税理士のリアルなお付き合い状況、よくあるお悩み、中小企業の税理士の選び方や失敗しないために知っておくべきポイントについて解説しました。
2024年に中小企業が受けるべき税理士からのサポートや、リアルな税理士変更事例を知りたい方は「税理士選び時流予測レポート2024」をご覧ください。
どこの事務所が何が得意か、自社に必要なサポートを充分にしてくれる税理士事務所はどこか、というのは、外からではわかりにくいのが現状です。
税理士セレクションでは、税理士業界専門のコンサルタントが貴社の経営ビジョンや経営課題を伺った上で、受けるべき税理士サービスや選ぶべき税理士事務所の条件を一緒に整理させていただき、適切な税理士事務所をご紹介させていただきます。
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石原 佑哉
新卒で船井総研へ入社以来、HR領域のコンサルティングで全国各地・様々な業種の企業の成長支援を行ってきた。
その中で成長企業ほど会計周りの業務効率化や決算・税理士に関する悩みが多かったことから、”企業レベルと税理士レベルのミスマッチを解決する”という事業コンセプトに共感し、成長企業とハイレベル会計事務所をマッチングする税理士セレクション事業のメンバーとして活動している。
現在は多くの業種のコンサルティングに携わった知見を活かし、業種・企業規模に応じた課題を解決するべく、年間200件以上のご相談に対応している。