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公開日:2024.04.15更新日:2024.09.03
税務調査が入る確率は?調査が入りやすい企業の特徴や調査が入らないための対策を解説
事業を営んでいると、ある日突然税務調査の通知を受けることが。
税務調査について不安はあっても、具体的な調査内容や対応方法については知らない部分も多いのではないでしょうか。
本記事では、税務調査が入る確率や、調査が入りやすい特徴について解説します。
税務調査について気になっている経営者様はぜひ参考にしてみてください。
法人と個人事業主の税務調査が入る確率
結論から述べると、税務調査が入る確率は決して高くはありません。
税務調査が入る確率については、国税庁が公開している税務調査実績より紐解くことができます。
法人の税務調査の確率
法人の税務調査実績に関して、令和4年度おける法人税の申告件数は約312.8万件でした(令和5年11月公表値)。法人に対する実地での税務調査件数は約6.2万件であったため、法人に税務調査が入る確率は1.9%(6.2万件/312.8万件)=約2%です。
個人事業主の税務調査の確率
今回は、課税売上1,000万円以上の一定規模の個人事業主を想定して算出します。
個人事業主の令和4年度おける消費税申告件数は、約105.5万件でした(令和5年5月公表値)。個人事業主に対する実地での税務調査件数約2.6万件であったため、2.5%(2.5万件/105.5万件)といった確率になっています。
この数字から、税務調査の対象になる確率はどちらも約2%程度と高くないと言えますが、もう1つ注目すべき数値があります。それは直近3ヵ年の税務調査の件数の変化です。
法人と個人事業主の直近4年間の税務調査件数
法人の直近4年間の税務調査件数
国税庁の統計によれば、令和4年に実地調査が行われた件数は約6.2万件でしたが、令和2年、令和3年に行われた実地調査より増加傾向にあります。
これはコロナが影響していると考えられ、コロナ前である令和元年は約9万件実施されていた頃へ徐々に戻っていく可能性が考えられます。
そのため、今後法人向けの税務調査件数は増えていくことが予想されます。
【実地調査件数】
令和元年 |
令和2年 |
令和3年 |
令和4年 |
前年比 |
90,000件 |
29,000件 |
41,000件 |
62,000件 |
152.3% |
出展:国税庁.“令和4事務年度 法人税等の調査事績の概要”
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2023/hojin_chosa/index.htm,(参照2024-04-11)
“令和2事務年度法人税等の調査事績の概要”
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2021/hojin_chosa/pdf/01.pdf, (参照2024-04-11)
個人事業主の直近4年間の税務調査件数
国税庁の統計によれば、令和4年に実地調査が行われた個人事業者の消費税の件数は約2.6万件でした。
こちらも同様に令和2年、令和3年に行われた実地調査より増加傾向にあります。
今後は、コロナ前の3万件前後に戻っていく可能性が考えられます。
【実地調査件数】
令和元年 |
令和2年 |
令和3年 |
令和4年 |
前年比 |
30,736件 |
11,076件 |
16,908件 |
25,513件 |
152.3% |
出典:国税庁.“令和2事務年度 所得税及び消費税調査等の状況”.
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2021/shotoku_shohi/pdf/shotoku_shohi.pdf,(参照2024-04-11)
今後はコロナ前の件数に増加していく可能性あり
税務調査が入る確率は2%というと、可能性が低いように感じますが、「50社に1社」と考えると身近に感じられるのではないでしょうか。今後はコロナ前の件数に戻っていくことが予想されるため、税務調査が入る確率が高くなる可能性もあります。ここ数年で税務調査が来ていないという企業は再度決算申告の内容に間違いがないか、全ての数字を正しく計上できているか、経理体制に不備がないか見直しておくとよいでしょう。
税務調査は単に「調査」であるため、脱税の疑いがある企業だけでなく、正しく申告している企業も調査の対象になる可能性があります。調査の対象になっても悲観的になる必要はなく、顧問税理士と連携して冷静に対処すれば問題はありません。
ここからは、税務調査についての簡単なおさらい(目的や種類、頻度)や、税務調査が入りやすい企業の特徴について解説します。
税務調査のおさらい
税務調査とは
税務調査は、国税庁や地方の税務署が実施し、納税者が正確に税金を申告しているかどうかを調査する手続きです。法人税や所得税など、多くの税金は、納税者が自ら税金を計算して申告し、支払う「申告納税制度」に基づいています。この制度には計算ミスや虚偽の申告が含まれる可能性があるため、税務調査は不正行為を防ぎ、申告内容を確認する目的で実施されます。
税務調査の種類
税務調査は、「強制捜査」と「任意捜査」の2種類に大別されます。
強制調査
強制捜査とは、国税局査察部が、裁判所の令状を持ち、脱税の疑いのある納税者を対象に行う税務調査です。特に「脱税額が1億円を超える」などの重大な疑いがある場合に実施されます。強制調査では、納税者は調査を受け入れることが義務付けられています。
任意調査
一方、任意調査とは、脱税の疑いがない多くの法人や個人が対象となる税務調査です。事前に税務署から電話で連絡があり、訪問日時などが通知されます。顧問税理士がいる場合は、基本的に税務署からの連絡は顧問税理士に入り、顧問税理士と一緒に任意調査受け入れの日程を調整します。突然の訪問はありません。通知が電話ではなく通知書で届く場合もあります。
任意調査という名前ではありますが、調査官(税務署の職員)は「質問検査権」を持ち、正当な理由なく帳簿書類の提示などを拒否すると罰則が科せられることがあります。
税務調査の頻度
税務調査の頻度は、一般的に3〜5年に1度程度と言われますが、実際には10年以上税務調査がない会社や、創業以来一度も税務調査を経験していない企業もあります。どのような企業や個人事業主であっても、税務調査を受ける可能性はありますが、何故税務調査が入る頻度が高い企業、あまり税務調査が入らない企業があるのでしょうか。
税務署が調査対象を選定する方法
税務署が調査対象を選定する方法は、ズバリ「税務署独自のシステム」です。
KSK(国税総合管理)システムというものに全国の法人・個人の10年間程のデータが入っており、今年儲かっている業種や重点調査業種(脱税が多い業種など)の中から候補先を抽出しているのです。
また、会計データ上に異常値がある場合には、アラートが出る仕組みになっており、アラート数が一定数以上になると調査対象候補としてピックアップされる、機械的な仕組みとなっています。
税務署の統括官は、システムが抽出した候補から対象先を選定します。
また、税理士を変更することで税務調査が入るのではないかと考えている方もいらっしゃるかもしれません。確かに税理士の変更により科目体系や概況書が大きく変わった場合、KSKシステムからアラートが発生してしまうケースはあります。しかし、適正な科目へ修正することは何ら問題なく、調査官に対して説明をすればよいだけです。
税理士の変更自体が調査の引き金になることはなく、それどころか、自社にとって最適な税理士に変更することで、税務調査への対応もより円滑に行えるでしょう。
税務調査が入りやすい企業の特徴
ここでは、税務調査が入りやすい特徴について解説します。税務調査が入りやすい企業や個人事業主には、一定の共通点があります。以下で詳しく説明していきます。
不正が多い特定の業種
国税庁の「実地調査の状況」によれば、風俗業や飲食店、廃棄物処理などの業種では、不正発見の割合が顕著に高いことが報告されています。これらの業種に属する法人や個人事業主に対しては、税務署が特に注意を払っているといえるでしょう。
規模が大きい企業
規模が大きな企業も税務調査が入りやすい特徴の一つです。一般的に、売上や利益が大きい企業ほど多くの税金を納めています。申告内容に誤りがある場合、納税額への影響も大きくなるため、税務署は規模が大きい企業に対して注意を払っているのです。
売り上げや利益の変動が大きい企業
売上や利益が急激に変動する企業も、調査の対象となりやすい傾向があります。特に、黒字から赤字への転換や利益の急増(減少)などのケースに対して、税務署は注意を払っています。
過去の税務調査で指摘を受けた企業
過去に税務調査で指摘を受けた企業は、申告内容について特に厳しく監視されます。過去の指摘事項を遵守しているかどうかが問われるため、再度の調査の対象となりやすいです。
申告内容に不審な点がある企業
申告内容に疑わしい点がある企業も、税務調査の対象となりやすいです。たとえば、確定申告書と取引先の支払調書の金額に差異がある場合や、経費が不自然に高い場合などが該当します。申告内容に不審な点があると調査の対象になる可能性が高まります。
税務調査が入らないための対策
ここでは、税務調査が入らないための対策について解説します。税務調査が入らないためには、ミスのない申告と適正な経費計上を徹底し、信頼できる税理士とパートナーシップを築くことが重要です。
申告漏れや申告数値に誤りがないよう、税理士に月次決算・月次監査をしてもらう
税務調査が入らないようにするためには、申告漏れや申告数値に誤りがないよう徹底しましょう。申告書類に不備があると、内容に疑念が生じ税務調査を受ける可能性が高まります。
正確な申告を行うためには、日々の会計ソフト入力をミスなく正しくに行うこと、年に1回決算を行うのではなく、月次決算を行い毎月数字を締めること、税理士から月次監査(毎月の会計ソフト入力内容のチェック)を受けることが欠かせません。年に1回の本決算でしか数字を締めていない、監査を受けていないという場合、税理士側も12ヶ月分の内容を確認・修正するのは時間がかかる上、税理士も人間の為ヒューマンエラーのミスが発生するリスクが高まります。
そのため、税務調査官も税理士の関与・監査頻度を必ず確認します。(年1回、年4回、年12回等)
売上や計上漏れを防ぐため、入出金があったら即座に処理するなど、税理士と一緒に日頃から適切な会計処理を行える仕組みを整えて、毎月数字を締めて監査を受けるようにしましょう。
適正な経費計上を行う
税務調査が入らないようにするためには、適正な経費計上を行うようにしましょう。申告内容に関連する領収書などの資料は必ず保存することを徹底してください。 税務調査が入ったときに、申告書類や日々の記帳について税務署から指摘を受けることがあります。そのようなときも、資料や領収書のデータがあれば、納得のいく説明ができるはずです。
また、売上原価や人件費、外注費など、税務調査で見られやすい項目については、決算時に税理士にしっかり確認してもらいましょう。
税務署OBが在籍している事務所であれば、税務調査で指摘されやすい項目を理解した上でチェックしてもらえます。
経理体制を整える
必要資料がすぐ出せない場合は、調査員に不信感を持たれやすくなります。しっかりしたファイリングを見せるだけでも管理力が高いことを示せます。
調査時には過去3~7年分の資料を見られる可能性もあるため、情報を残し、整然と資料を出すためにも、電子帳簿保存法改正、インボイス制度にしっかり対応した形で残しておきましょう。
税務調査に強い税理士に相談をする
税務調査に強い税理士との顧問契約は、有効な税務調査対策の一環となります。
税務調査に強い税理士に相談し、1億円の追徴課税を回避した事例
とある運送会社様(年商10億円/大阪府)では税務調査がいきなり入り、外注費として計上していた費用について、国税局から「給与として認定されるため、仕入れ税額控除は認められない。」と指摘され、1億円を超える消費税の追徴課税を求められました。
顧問税理士では対応が難しく、藁にも縋る思いで国税庁出身の税理士が代表を務める税理士法人にご相談されました。
税務調査には、一般的な税務署からの税務調査と国税局からの税務調査があり、国税局からの税務調査は一般的な税理士では対応が難しいことも多く、税務調査が得意な事務所に相談した方が良い案件です。
こちらの企業様は税務調査に強い税理士に依頼し、各外注先から業務報告書を全て収集、業務として請負契約をしていない場合でも外注費であることを理解してもらえる資料を作成いただきました。その結果、無事外注費として認定していただくことができました。
給与と認定されていたら、危うく1億円の追徴課税になるところでした。
このように、税務調査の内容によっては税務調査を得意としない税理士では対応できないケースもあります。特に年商規模の大きい企業や、顧問税理士の顧問先の中で自社が最も大きい企業である場合、顧問税理士では対応できないケースが出てくるかもしれません。そこで予め、「自社より大きい規模の顧問先がいる」「国税出身者がいるなど税務調査に強い税理士がいる」事務所をパートナーとして、日頃から対策を行うことがおすすめです。
税務調査に強い税理士をお探しなら
本記事では、税務調査が入る確率や調査が入りやすい企業の特徴について解説しました。税務調査が入らないようにするためには、日々の会計処理を正確に行い、税務申告を適切に行うことが重要です。また、日頃から税務調査対策を意識して経費の計上や経理体制を整えておく必要があります。
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