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- 税理士の賢い選び方
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公開日:2025.01.06更新日:2025.01.06
【2025年最新】失敗しない税理士の選び方とは?選ぶ基準や探し方、失敗しがちなポイントを解説
船井総合研究所では、全国の中小企業の経営者様から、税理士に関するご相談を累計1,500件以上いただいております。
その中でお客様から、
「どのような基準で税理士を選べばよいのかわからない。」
「過去、何度か税理士選びで失敗した。もう失敗したくない。」
というお声をよく頂戴します。
そこで本日は、税理士を選ぶ基準や探し方、失敗しがちなポイントを解説してまいります。
成長企業と売上減少企業の税理士選びの違い
税理士を選ぶ判断軸には様々なものがありますが、まずは成長企業(売上成長企業)が税理士とどのようなお付き合いをしているのか、理想のお付き合い事例を知ることから始めましょう。
独自のやり方を考え編み出すよりも、成長企業の取り組みを真似した方が、圧倒的に短期間で成果に繋がりやすいです。
自社の現状と理想との違いを把握した上で、税理士を選びましょう。
(1)成長企業の9割が税理士と年1回以上打合せをしている
船井総合研究所・税理士セレクションが2024年10~11月に実施した「顧問税理士実態大調査2024」によると、 成長企業の9割が年1回以上税理士と打ち合わせを実施している結果となりました。
売上減少企業は税理士と打合せをしていない割合が23%となっています。
もし今の税理士と定期的な打ち合わせができていない場合は、定期的に打合せをしてもらえる税理士を選びましょう。
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<有効回答数>
※64(うち、業歴1年未満を除き、昨年より売上が伸びている企業を「成長企業」(N=29)、売上が減少している企業を「売上減少企業」(N=13)とした)
<回答属性>
※船井総合研究所の一部勉強会の会員・メルマガ会員
※業歴10年以上の企業が70%以上
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(2)成長企業の方が、試算表をもとにしたアドバイスを受けている
また、成長企業の方が「試算表をもとに面談でアドバイス・提案をもらっている」企業が約半数と多くなっている他、試算表を提出してもらっている割合が83%となっていました。
売上減少企業は、「試算表をもとに面談でアドバイス・提案をもらっている」企業が38%と成長企業より10ポイントマイナス、試算表を提出してもらっている割合が69%と成長企業より14%マイナス、「試算表を出してもらえていない」と回答した企業が23%(成長企業は14%)でした。
もし今の税理士から「試算表を提出してもらえていない」「試算表をもとに、アドバイスや提案をもらえていない」という場合は、試算表をもとにアドバイスがもらえる税理士を選びましょう。
その他、2025年に向けた税理士の選び方を解説したレポートはこちら≫
税理士選びで失敗しがちなポイント
次に、よくある税理士選びの失敗事例をご紹介します。
よくある失敗例を知っておくことで、事前にリスクを回避し、最適な税理士を選ぶことができます。
(1)安さ重視で選ぶ
よくある失敗事例が、「安さ重視」で選んだというケースです。
税理士選びに関して、よくWeb上でも「顧問料を〇万円削減!」といった広告を目にしますが、安さ重視で選ぶと失敗する確率が高くなります。
税理士事務所も当然人件費等のコストがかかっているため、安い顧問料の顧客先は必要最低限のサービスになりがちです。
顧問料月1~3万円で、「毎月の面談」「財務や資金繰りのアドバイス」「積極的な節税対策などの提案」を求めても、そこまで税理士事務所も対応しきれず、ニーズとのミスマッチが生じてしまうでしょう。
売上や利益が安定しない創業当初は、安さ重視でも問題ないケースもありますが、売上成長を考え始めたり、年商1億、3億、10億、30億と成長するにつれて、必要なサポートは変わってきます。
そのため、「こちらから言わなくても、提案や情報提供をしてほしい」「財務や資金繰りのアドバイスがほしい」「年商規模にあった提案をしてほしい」といったニーズが出てきたら、ある程度の顧問料を想定した上で、安さ重視ではなく必要なサポートをしてくれるかどうか、で選ぶと良いでしょう。
(2)税理士の得意な分野や実績を知らずに選ぶ
次によくある事例が、「税理士の得意分野や実績を知らずに選ぶ」ケースです。
税理士事務所によって得意なサポート内容、得意な業種や年商規模、会計ソフトは異なります。
金融機関出身者が在籍しており、銀行評価対策や資金調達支援が得意な事務所がある一方で、資金調達は税理士試験の科目にないため全くわからないという税理士事務所もあります。 経理改善コンサルや経理代行、事業承継や相続対策等も同様です。
これから成長を考えている、という企業においては、自社が目指す規模の企業(できれば同業種)がどのような事業計画を立て、予実管理をしているのか。どのようなバックオフィスを整備しており、どのように資金調達・資金繰り管理をしているのか、そういった情報をもらえる税理士を選ぶ、というのが1つのポイントです。
税理士事務所によっては、HPや会社案内資料で事務所の実績を載せているケースがあります。しかし、情報が更新されていないこともあるので、できればその税理士事務所について詳しい人にも話を聞いた上で、自社の課題や業種・年商規模等にあった税理士を選べるとベストです。
(3)税理士のサービスを比較せずに選ぶ
新製品やシステムの導入には、時間をかけて比較・検討する企業が多いですが、税理士を比較して選ぶ企業は実はそう多くありません。
「知り合いが依頼しているから」「地元では有名な税理士事務所だから」といった理由で決めているケースをよくお見かけします。
税理士事務所によって、サポートできるサービスの内容や品質は異なりますし、企業の成長フェーズに合わせて必要なサービスも異なります。
ご友人の会社にとっては良い税理士でも、自社に合う税理士かどうかはまた違った判断軸が必要です。(目指す企業ステージ、求めるサービス、業種の違い等から)
そのため、税理士事務所によってどのような違いがあるのかを比較・検討した上で、自社にとって必要なサービス提供をしてくれる税理士を選びましょう。
税理士の選び方①:税理士の選択基準を決める
(1)現状の課題や不満、事業計画をもとに、必要なサポートを整理
失敗しない税理士の選び方のコツは、ズバリ、「自社に必要なサポート」を明確にすることです。
具体的には、
・現状の課題や不満を整理
(例)試算表の作成に30日以上かかっている、15日以内に見れるようにしたい
経理担当者の負担が大きいので、経理業務をアウトソーシングしたい
銀行評価を意識した決算対策や節税対策のアドバイスが欲しい
・今後の事業計画を確認
(例)5年後まで売上〇億円を目指したい(資金調達をして成長投資する、M&Aをする…)
いずれはホールディングス化も検討している(組織再編をする、バックオフィスも再編・改善する…)
・必要なサポートを整理
(例)試算表を早期作成するため、クラウド会計の導入・活用アドバイスができる税理士事務所
経理業務の一部をアウトソーシングできる税理士事務所
売上〇億円規模の顧問先を持ち、ホールディングス化のアドバイスができる税理士事務所
M&Aのサポートができる税理士事務所
これからどんな風に事業を拡大していきたいのか。それを実現するために、どのようなサポートが必要なのか。しっかり整理することが重要です。
漠然と税理士を探すのではなく、自社のニーズを明確化することが、失敗しない税理士選びの第一歩です。
とはいえ、税理士が何をどこまでサポートしてくれるのか、わからない経営者様も多いのではないでしょうか。
下記コラムにまとめておりますので、ぜひご覧ください。
(2)税理士の得意な業種・テーマ・会計ソフトから選ぶ
これまで、何度か記載しておりますが、医者にも「内科」「小児科」「整形外科」「眼科」と各科目があるように、税理士も得意なサポートや業種、年商規模、会計ソフトが異なります。
全てに精通している税理士がいれば理想ですが、ある程度得意分野は絞られてくるのが実情です。
<サポート>
節税対策、決算対策、経理改善、経理代行(アウトソーシング)財務・資金繰り、 助成金・補助金、税務調査対策、事業承継、M&A、IPO、経営者の手取り最大化、 医療法人化、MS法人活用、オーナー企業の相続対策、海外対応、セカンドオピニオン
<業種>
住宅・不動産・建設・リフォーム・工事・歯科・医科・病院・調剤薬局・介護・整骨・葬儀・製造業・自動車・運送・商社・卸売・飲食・小売・印刷・旅館・パチンコ・保育園・幼稚園・学習塾・放課後デイ…
<顧問先の年商規模>
年商100億円以上、50億~100億円、20~50億円、10~20億円、5~10億円、3~5億円、1~3億円、1億円以下
<会計ソフト>
マネーフォワード、freee、弥生会計、TKC、JDL、勘定奉行、ミロクほか
自社に当てはまる項目や重視したい内容を整理して探すと、ミスマッチが生じる確率を抑えられます。
(3)税理士事務所の規模や組織体制から選ぶ
「令和3年経済センサス‐活動調査 事業所に関する集計」「産業別集計 サービス関連産業に関する集計」によると、全国の税理士事務所数は30,479事務所あります。(公認会計事務所含む)
その中には、開業したての税理士事務所、税理士1人とスタッフ数名で運営している個人事務所、複数名の税理士とスタッフを擁する税理士法人と様々な税理士事務所があります。
小規模な事務所は、気軽に相談しやすい一方で、税理士1名で回していることが多いため、先生が体調を崩してしまったり出張が入ってしまったりすると業務が止まる、対応できる範囲が限られるケースがあります。(個人事務所でも、資金調達支援やバックオフィスコンサル等、専門分野をもつスタッフが在籍しているケースもあるので、内情をよく調べることが重要です。)
複数名の税理士やスタッフを擁する税理士法人であれば、複数名体制でのフォローが可能になり、スピーディーに対応してもらえるメリットがあります。また、様々な資格者も在籍していることが多いことから、幅広いニーズに対応してもらえるケースが多いです。
自社に必要なサポートに合わせて選ぶとよいでしょう。
(4)税理士事務所の所在地から選ぶ
直接顔を合わせて相談をしたい、という経営者様は近隣エリアや県内で探す方が多いかと思いますが、近年ではZoomなどのWeb会議システムの普及で距離に関係なく税理士を選ぶ方も増えてきました。
出張などでよく行くエリアであれば、半分Web会議、半分直接お会いしての会議にするなど、選択肢も増えています。
また、近年では必要書類をデータでやり取りすることが可能になってきたため、わざわざ訪問しなくても、これまで通りのお付き合いができる環境が整ってきました。
そのため、税理士を探す選択肢(エリア)は以前より広がってきたといえるでしょう。
とはいえ、様々な事情で近隣の税理士、または年に何回か訪問してくれる税理士が良い、という会社もあります。そうした場合、近隣で条件にあう税理士事務所を選び、または、全国に複数拠点を持つ事務所を選ぶというのも1つの選び方です。
税理士の選び方②:信頼できる税理士のチェック項目
続いて、信頼できる税理士を判断するチェック項目をご紹介します。
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(1)態度が威圧的でなく、親身に寄り添ってくれるかどうか
(2)レスポンスの早さ
(3)試算表の提出スピード
(4)複数名体制でのサポート
(5)面談の頻度
(6)顧問先の業種・年商規模・実績
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(1)態度が威圧的でなく、親身に寄り添ってくれるかどうか
税理士業界は、いわゆる「先生業」と言われている閉鎖的な業界特性もあり、昔ながらの税理士事務所の場合、高圧的な態度で接してくるケースがあります。
そのため、気になる税理士事務所があれば、実際に面談し、経営者に親身に寄り添ってくれるかどうか、経営者の意図を汲んで柔軟に対応してもらえるかどうかを見極めるとよいでしょう。
(2)レスポンスの早さ
税理士に連絡した際、レスポンスが早いかどうかも重要です。
昔ながらの税理士事務所の場合、「ビジネスチャットを使ってもらえず、メールかFAXのみ」「連絡がつかない」「回答までに1週間かかる」というお悩みで弊社にご相談いただくケースも多くございます。
弊社が実施した顧問税理士実態大調査2024では、1営業日以内に返してくれる税理士が64%、1営業日以上かかる税理士は33%、連絡がつかない税理士が3%という結果でした。
税理士を変えてみれば、レスポンスの遅さは解消されるかもしれません。
(3)試算表の提出スピード
成長志向の企業にとって良い税理士は、試算表を30日以内に提出してくれるという特徴があります。
試算表を早期確認することで、早期に会社の現状を把握し、課題を発見し、迅速な経営判断が可能になるからです。
事業規模にもよりますが、試算表を数カ月に1回、あるいは提出してくれない税理士は見直した方がよいかもしれません。
適切なスピードで試算表の作成・提出をサポートをしてくれる税理士に依頼しましょう。
(4)複数名体制でのサポート
信頼できる税理士は、複数名体制でサポートしてくれるという特徴があります。
何かあった時にすぐ対応できるよう、組織的に企業をサポートしてくれる税理士はレベルが高いと言えるでしょう。
「自社に複数名の担当をつけてくれる」「やりとりをするチャットに税理士事務所側のスタッフが複数名参加しており、誰かしらがすぐに対応してくれる」税理士事務所は安心して相談ができます。
(5)面談の頻度
基本的には毎月税理士事務所と面談し、売上の推移や今期の利益着地予想を提示してもらい、必要な対策(節税対策・資金繰り等)をアドバイスしてもらえる事務所の方がよいでしょう。
一方で、「面談はあるが、過去の数字の報告しかしてもらっていない」というお悩みもよくいただきます。
税理士を選ぶ際、面談時に自社に必要な最新情報や提案を積極的にしてくれるかどうかを確認するとよいでしょう。
(6)顧問先の業種・年商規模・実績
税理士事務所のHPや会社案内に実績や事例を掲載している事務所は、掲載していない事務所と比較して、掲載されている企業規模・業種・サポート内容に長けていると考えられます。
税理士事務所を選ぶ際には、HPや会社案内で実績等を確認するとともに、同業種や一歩先を行く年商規模の顧問先がいるかどうか、得意なテーマに対する実績などを直接確認してから、依頼するとよいでしょう。
優良税理士を探す方法
ここまでは税理士を選ぶ基準や見極め方、よくある失敗事例をご紹介してきました。
では、優良税理士を探す方法にはどのような方法があるのでしょうか?
(1)自分で探す
(2)知り合いの紹介で探す
(3)税理士紹介サービスを利用する
(1)自分で探す
税理士を探す方法として、ご自身でインターネットや近隣エリアの税理士事務所の情報を収集して探す方法があります。
自分のペースで好きなタイミングに探せるのがメリットですが、税理士業界に関する知識がないまま、なんとなくで税理士を選んでしまうとミスマッチが生じやすいです。
また、途中で探したり面談したりすることに疲れてしまい、不満を感じたまま現状維持に陥ってしまうケースも多いため、誰かと一緒に探すのがよいでしょう。
(2)知り合いの紹介で探す
知り合いの経営者や商工会議所、銀行などから税理士を紹介してもらう方法もよくあるパターンです。
知り合いの評判を聞いた上で選べる安心感があるのがメリットですが、もし税理士と相性が悪く、断りたいと感じた時、付き合ううちに不満を感じた時に、知り合いとの関係性から断れない、強く言えないデメリットもあります。
(3)税理士紹介サービスを利用する
税理士紹介サービスを利用するのも一つです。
様々な税理士事務所と提携しているため、「自分で探す」「知り合いの紹介で探す」より豊富な選択肢から税理士を選べて、万が一合わないと感じた時もしがらみがないため、断りやすいメリットがあります。
失敗しない税理士選びならお任せください。
船井総合研究所・税理士セレクションでは、成長企業と税理士のミスマッチをなくすため、一定の基準を満たした優良税理士事務所を相談料・紹介手数料無料でご紹介しています。
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石原 佑哉
新卒で船井総研へ入社以来、HR領域のコンサルティングで全国各地・様々な業種の企業の成長支援を行ってきた。
その中で成長企業ほど会計周りの業務効率化や決算・税理士に関する悩みが多かったことから、”企業レベルと税理士レベルのミスマッチを解決する”という事業コンセプトに共感し、成長企業とハイレベル会計事務所をマッチングする税理士セレクション事業のメンバーとして活動している。
現在は多くの業種のコンサルティングに携わった知見を活かし、業種・企業規模に応じた課題を解決するべく、年間200件以上のご相談に対応している。