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- 税理士の賢い選び方
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公開日:2025.05.27更新日:2025.05.29
税理士を変更する際によくあるトラブルとは?トラブルを回避するコツやタイミングを解説!
「今の税理士に不満はあるが、変更するのは大変そう…」
「後々トラブルにならないか不安だ…」
「税理士を変更すると、様々な手間が発生するのでは…」
そのような不安から、顧問料に見合ったサービスを受けられていないと感じつつも、現状維持を選んでしまう経営者様も多いのではないでしょうか。
しかし、”税理士とのミスマッチ”は、知らず知らずのうちに経営の足かせとなっている可能性もあります。
そこで、本記事では、税理士変更時によくあるトラブル例を取り上げ、スムーズに切替えるための対策と合わせて詳しく解説します。
税理士変更を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
税理士を変更する際によくあるトラブルと対策
税理士事務所にとって、顧問契約の解約は決して珍しいことではありません。そのため、基本的には慣れているものの、コミュニケーションや情報共有が十分でなかったために、本来であれば避けられたはずのトラブルが稀に発生してしまうことがあります。
事前によくあるケースを学んでいきましょう。
税理士変更でよくあるトラブル①:必要書類の返却漏れ
税理士変更時には、前任税理士に預けている帳簿や会計データ、法定調書など、全ての書類・データを漏れなく返却してもらう必要があります。しかし、稀に、前任税理士や企業側の手違いで書類の返却漏れが起きることがあります。必要書類が揃わないと後任税理士への業務引継ぎが滞り、申告業務が遅れる原因となります。確実に回収するようにしましょう。
対策:返却してもらう書類のリストを作成し、双方で確認
確実に書類を返却してもらえるよう、予め新しい税理士に必要な書類のリストを用意してもらい、いつまでにどのようなデータが必要か確認しておきましょう。
税理士も慣れているので、予め新しい税理士から提案があるかとは思いますが、一例を下記に載せておきます。
<返却してもらうべき書類一覧例>
1.決算・申告関連書類(過去3~7年分が目安ですが、可能な限り全て)
- 法人税(または所得税)申告書控え(全ての別表を含む)
- 消費税申告書控え
- 地方税(事業税・住民税)申告書控え
- 決算報告書(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表など)
- 総勘定元帳
- 仕訳日記帳(または仕訳帳、会計ソフトのデータバックアップ)
- 固定資産台帳(減価償却費の計算根拠となるもの)
- 勘定科目内訳明細書
2.税務署等への各種届出書・申請書の控え
- 法人設立届出書(法人の場合)
- 個人事業の開業・廃業等届出書(個人事業主の場合)
- 青色申告承認申請書
- 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
- 消費税課税事業者選択届出書(該当する場合)
- その他、税務署、都道府県、市町村へ提出した各種届出書類の控え
3.年末調整関連書類(直近の年度分を中心に過去数年分)
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
- 給与所得者の保険料控除申告書
- 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
- 住宅借入金等特別控除申告書(該当する場合)
- 源泉徴収簿(賃金台帳)
- 源泉徴収票(従業員交付分および税務署提出用控え)
4.法定調書関連書類
- 法定調書合計表
- 支払調書(報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書など)
5.会社の基本書類
- 定款(法人の場合、最新のもの)
- 登記簿謄本(履歴事項全部証明書など、法人の場合)※税理士が預かっている場合
6.その他(税理士に預けていた場合)
- 領収書綴り、請求書控え綴り、預金通帳のコピーまたは原本(一定期間預けて経理処理を依頼していた場合)
- 各種契約書(リース契約書、保険証券など、経理処理や税務判断に関わるもの)
- 税理士が作成した経営分析資料や事業計画書など
- 社印、代表者印、銀行印、通帳など(これらは原則として会社保管ですが、例外的に預けていた場合)
- 会計ソフトのデータバックアップ(最も重要です。新しい税理士が利用しているソフトと互換性があるか、データ形式なども確認しましょう)
- ID・パスワード類(e-TaxやeLTAX、電子申告・納税システムの利用者識別番号や暗証番号など、税理士が管理していた場合
会計ソフトのデータは、新しい税理士が利用できる形式(CSV形式や特定の会計ソフトのバックアップ形式など)で受け取るようにしましょう。
税理士変更でよくあるトラブル②:e-TAXや会計ソフトの登録情報を変更し忘れ、前任の顧問税理士に通知が行ってしまう
e-TAXや会計ソフトの登録情報を変更し忘れている場合、解約後も前任税理士に申告通知が届く恐れがあります。
多くの場合、e-Taxの利用者識別番号や暗証番号、登録されているメールアドレス、あるいはクラウド会計ソフトの管理者権限や通知先メールアドレスなどが、開業時や導入時に税理士に設定を任せきりになっており、変更手続きを失念してしまうことが原因です。
税務署からの重要な連絡や、会計ソフトのアップデート情報、請求情報などが前任の税理士に送られ続け、新任の税理士や自社に届かないトラブルに繋がるので、登録情報は、速やかに更新しましょう。
対策:速やかにe-Taxや会計ソフトの登録情報を確認・変更
税理士との変更契約が完了したら、速やかにe-Taxや会計ソフトの登録情報を確認しましょう。
特に以下の点を確認し、自社で管理できる情報(自社のメールアドレス、担当者の情報など)に変更手続きを行ってください。
・e-Taxの利用者識別番号、暗証番号(必要に応じて再発行や変更)
・e-Taxに登録されているメールアドレス、納税用確認番号など
・クラウド会計ソフトの管理者権限、ユーザーアカウント、通知先メールアドレス
税理士変更でよくあるトラブル③:契約解除を断られる・解約時期の先伸ばしを求められる
企業側が顧問契約の解約を申し出ても、前任の税理士に「そこをなんとか…」と言われるケースや、解約時期の先伸ばしを求められるケースがあります。
契約解除に関しては「長年お世話になってきた分、もう少し様子を見てから…」といったケースもありますが、「自社の成長ステージに合った提案を受けられていない」「この先も税理士と一緒に成長していくイメージができない」といったお悩みの場合は、情に流されず、切り替えた方がスムーズでしょう。
対策:契約書類の内容を確認の上、解約を申し入れる
税理士に解約を拒まれたり解約時期の先延ばしを求められたりする背景には、契約書に解約条件や違約金についての定めが明記されているケースが考えられます。
☑ 解約申し入れは「前月末日まで」「2ヶ月前に申告」といった記載がないか
☑ 「違約金」に関する記載がないか
契約書類を確認の上、ルールに則った申し入れをしましょう。
今の税理士との契約書を確認した上で、新しい税理士と面談し、業務範囲や報酬を相談して契約条件をすり合わせましょう。これにより、契約解除後のトラブルや料金請求ミスを予防できます。
もし、前任税理士が正当な理由なく拒否したり、法外な違約金を求められたりした場合は、税理士が所属する税理士会(職能団体)に相談して調停のサポートを受けるとよいでしょう。
税理士変更でよくあるトラブル④:後任の税理士と上手くいかない
思い切って税理士を変更したものの、「自社の使用している会計ソフトに詳しくなかった」「業界に詳しくなく、以前より確認に時間がかかってしまった」といったトラブルが発生してしまうこともあります。
友人や知り合いの紹介等で税理士を変更された場合に多いパターンです。
対策:事前に使用している会計ソフトや業界知識の有無、サポートしてほしいテーマの実績があるかどうかを確認する
あとで後悔しないよう、税理士選びは「なんとなく」で決めずに、慎重に進めるとよいでしょう。
自社の業界に詳しいか、自社より大きな顧問先がいるか、節税対策や経理改善、事業承継、相続など自社にあったサポートができる税理士事務所か等、しっかりと見極めましょう。
後々ズレが生じないよう、様々な成長企業の紹介実績がある税理士紹介会社を使用したり、予め自社に必要なサポートを整理しておくとよいでしょう。
船井総合研究所・税理士セレクションでは、一定の基準を満たし、様々な実績がある税理士事務所のみ紹介しております。また、業界・業種、年商規模、今後の事業計画にあった必要なサポートを整理し、貴社に合った税理士をご紹介します。お気軽にお声がけください。
税理士を変更する際のトラブルを回避するコツ
ここでは、税理士を変更する際のトラブルを回避するコツについて解説します。必要な手続きや、書類・データを確認し、社内での情報共有と合意形成をしておくことでスムーズに変更を進めることができるでしょう。以下で詳しく解説していきます。
①税理士を変更する際に必要な手続きを把握しておく
税理士を変更する際のトラブルを避けるためには、必要な手続きを理解しておくことが重要です。現在の顧問契約の内容を確認するとともに、必要な書類やデータについても把握しておくようにしましょう。
また、新しい税理士へどのようにデータを移行していくかも、新しい税理士との面談時にざっくりでも聞いておくとよいでしょう。
②事前に社内での情報共有と合意形成をしておく
税理士変更は会社全体に影響するため、経営陣や経理担当者間で事前に情報共有しておくことが大切です。変更の理由やタイミング、引継ぎ計画について社内で認識を合わせておけば混乱が生じにくくなります。
新しい税理士との面談時に、代表だけでなく関係者にも同席していただき、経営陣や経理担当者の不明点を事前に解消しておくのも一つでしょう。
税理士を変更する際に、トラブルが少ないタイミングは?
ここでは、税理士を変更する際のトラブルが少ないタイミングについて解説します。自社の決算申告が終わった落ち着いた時期や、税理士の繁忙期を避けた時期を選択することで、スムーズに変更を進めることができます。以下で詳しく説明していきます。
①経営者の交代時
代表者や経営者が代替わりしたタイミングは、税理士変更を検討しやすい機会です。特に、先代から引き継いだ税理士と新経営者の年齢や価値観が大きく異なる場合、コミュニケーションが取りにくいケースがあります。そのため経営者交代を契機に税理士も刷新し、事業方針に合ったサポートを受ける企業も少なくありません。
受け入れる税理士側も「世代交代」という認識で受け入れやすいため、事業承継のタイミングで検討するのも1つでしょう。
②決算報告や修正申告の後
決算期直後(決算報告後)は、前任税理士が年度業務を完了しており、新しい税理士への引継ぎがスムーズに行えるタイミングです。例えば、3月決算の場合、3月末までを前任税理士の契約とし、4月から新税理士に切り替えることで、決算申告は前任税理士に任せつつ、4月以降に新税理士が業務を開始できます。
このように、決算直後に移行すれば、業務混乱を避けられ、次の決算期までに新税理士に経営状況を把握してもらう余裕も生まれます。一方で、期中では税理士変更できないというわけではありません。期中でも税理士を変更される方は多くいらっしゃいます。不満やニーズが顕在化した時に、検討するとよいでしょう。
③担当税理士の異動・退職時
前任の担当税理士が退職したり他事務所へ異動した場合も、税理士変更を行いやすいタイミングです。
同じ事務所内で担当者が変わっただけでも、企業側は再び信頼関係を築く必要があるため、旧税理士への遠慮が少なく、移行しやすくなります。
税理士事務所の繁忙期(決算月や申告時期が重なる12月~5月)を避けるのも選択肢の1つです。
12月~1月は年末調整や12月決算の企業の対応で忙しくなります。2月~3月は確定申告、4~5月は3月決算の企業の対応で忙しい、繁忙期と言われます。
繁忙期に切り替えようとすると、旧税理士と新税理士が共に立て込んでおり、引継ぎや申告が遅れる可能性があります。したがって、業務の手が空く時期や決算後の一定期間を狙い、事務所が比較的落ち着いているタイミングで変更を行うのもおすすめです。
トラブルのない税理士変更をご希望ならご相談ください。
企業の根幹に関わる税理士を変更するのは、経営判断として極めて重要であり、一歩踏み出すには勇気がいるでしょう。
しかし、税理士変更は、予め押さえるべきポイントや流れを理解しておくと、思ったよりスムーズにいく方が多いのでご安心ください。
船井総合研究所では、成長企業に合った、トラブルのない税理士変更をサポートしています。
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石原 佑哉
新卒で船井総研へ入社以来、HR領域のコンサルティングで全国各地・様々な業種の企業の成長支援を行ってきた。
その中で成長企業ほど会計周りの業務効率化や決算・税理士に関する悩みが多かったことから、”企業レベルと税理士レベルのミスマッチを解決する”という事業コンセプトに共感し、成長企業とハイレベル会計事務所をマッチングする税理士セレクション事業のメンバーとして活動している。
現在は多くの業種のコンサルティングに携わった知見を活かし、業種・企業規模に応じた課題を解決するべく、年間200件以上のご相談に対応している。