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公開日:2023.12.11更新日:2023.12.28
【経営者必見!】資金繰りとキャッシュフローの違いとは?
企業経営において理解しておくべき重要な概念の一つに、「資金繰り」と「キャッシュフロー」があります。これらは企業の持続的成長と財務健全性を維持するために不可欠な要素ですが、それぞれ異なる側面を表しています。
本記事では、資金繰りとキャッシュフローの違いに焦点を当て、それぞれが経営に及ぼす影響について詳しく解説します。
資金繰りとキャッシュフロー
皆様は「資金繰り」と「キャッシュフロー」の違いを説明できますか?
資金繰りは将来のお金の動きを表すものであり、一方でキャッシュフローは過去のお金の動きを反映したものです。
「資金繰り表」は将来のお金の動きを予測し、「キャッシュフロー計算書」は過去のお金の動きを表しています。
資金繰りと資金繰り表
資金繰り表は売上回収、仕入れ、経費の支払いなど、資金の予定入出金をまとめたものです。資金繰り表を作成することで、資金不足の時期や金額、あるいは資金の余剰が明確になります。資金不足時には資産の売却や預金解約、借入などが必要となります。反対に資金が余剰している場合は、借入金の前倒し返済や成長投資への活用、不動産などの資産購入など対策を検討します。
資金繰りは将来の資金動向を把握し、適切な対応を準備するための重要な要素です。実務においては、これらを可視化したものを資金繰り表と呼びます。
キャッシュフローとキャッシュフロー計算書
キャッシュフローは現金の流れを指しますが、資金繰りと混同されることがあります。
企業は資金の入り(キャッシュ・イン)と支払い(キャッシュ・アウト)の差額を計算し、自社で利用可能なお金(フリー・キャッシュ・フロー)を算出します。これに借入の変動を加味することで、最終的なキャッシュの増減を示します。
キャッシュフロー計算書は、上場企業には作成義務がありますが、中小企業にはありません。そのため、作成できていない中小企業が多いのが実状です。
▼キャッシュフローに関するより詳細な記事は下記をご覧ください▼
・キャッシュフロー経営とは|見るべきポイントやメリット・デメリット、進め方をわかりやすく解説!
資金繰りとキャッシュフローの違いとは
ここでは、資金繰りとキャッシュフローの違いについて、目的や一般的な期間、管理する資金の違いに焦点を当てながら、説明していきます。
目的の違い
資金繰りの主な目的は、将来の資金の増減に備え、適切なタイミングで支払いを行うための計画を立てることです。これにより、事業が円滑に運営され、資金不足に陥るリスクを最小限に抑えます。
一方で、キャッシュフローの目的は、企業が過去の活動から得た現金の動向を追跡し、経営の健全性や持続可能な成長を評価することです。キャッシュフローは企業の財務状態やキャッシュの使途を把握し、将来の戦略の基盤となります。
管理する資金の違い
上記の目的により資金繰りは、現金売上や売掛金・前受金の入金状況、手形の期日落ちなどの収入と、現金仕入れや買掛金の支払い、支払手形の決済や人件費などの支出を管理しています。
その差額と借入金などの状況を記載し、月別に資金不足にならないよう、管理しています。
一方で、キャッシュフローは当期純利益や減価償却費、売上債権、棚卸資産等の増減や投資活動による収入の増減を管理しています。
営業活動や投資活動、財務活動など企業の活動を大まかに3つに分けて、現金の出入りを確認することができるのが特徴です。
管理期間の違い
資金繰りは通常、短期的な視点から資金の動向を管理します。これは、業務運営における日々の収支や支払いの計画を含みます。
一方で、キャッシュフローは中長期的な視点から企業の現金の動きを評価します。キャッシュフロー計算書は通常、過去の会計データに基づいて作成され、将来の計画や投資の判断材料となります。
資金繰り表とは
資金繰り表とは、日々の事業活動で生じる収支と手元に残るお金をまとめた表です。資金繰り表を作成することで、資金不足になりそうなタイミングを事前に把握することができます。
前月繰越
資金繰り表に記載される項目のうち「前月繰越」では、前月から繰り越された現預金残高が記載されています。
営業収支
資金繰り表に記載される項目のうち「営業収支」では、本業の営業活動によって得られた収入と、かかった経費を記入します。収入から支出を差し引いた金額が営業収支の金額となります。
財務収支
資金繰り表に記載される項目のうち「財務収支」では、営業活動とは直接関係のないお金の出入りを記入します。借入金による収入や返済による支出が含まれます。財務収支がプラスの場合は資金調達で借入金が増えていることを示し、マイナスの場合は借入金を返済していることを示しています。
翌月繰越
資金繰り表に記載される項目のうち「翌月繰越」では、前月繰越と営業収支・財務収支を合計することで算出された金額が記載されています。
資金繰り表の分析方法
資金繰り表には、営業収支と財務収支によるお金の動きが記載されています。これらを詳細に分析することで、企業は資金の動きを理解し将来の戦略に備えることができます。債権と債務の管理に焦点を当て、将来的に支払う費用や受け取る収益を把握することで、取引先との契約内容を最適化することに役立ちます。
また、資金繰り表における予測と実績を比較することで、計画と実績のギャップを特定し、将来の予測の精度向上に役立てることができます。
資金繰り表の作成方法
資金繰り表を作成するためには、将来の売上、仕入れ、経費などの予測を行います。これにより、企業は特定期間内における資金の動向を予測できます。将来のお金の動きを営業収支と財務収支とに分けて計算し、それぞれの詳細な要素を明示します。これにより、企業はどの活動が資金に影響を与えているかを理解できます。また、取引先との契約条件や支払いサイクルを確認し、債権と債務の発生から回収までの動きを正確に反映させます。これにより、資金繰り表はより現実的なものとなるでしょう。
キャッシュフロー計算書とは
キャッシュフロー計算書とは、損益計算書(PL)と貸借対照表(BS)に次ぐ財務諸表の一つであり、会計期間における資金の動向をまとめたものです。
下記3つの区分で現金の動きを見れるため、経営の客観的な見直しに役立てられるでしょう。
営業活動によるキャッシュフロー
営業活動によるキャッシュフローは、本業による収支の差額を指します。本業の営業活動で手元のお金がどれだけ増減したかを示し、プラス表示の場合は事業から資金を生み出していることを示します。マイナスの場合は、本業で稼げていない可能性があります。
投資活動によるキャッシュフロー
投資活動によるキャッシュフローは、投資活動によるお金の変動を表示します。設備の投資や固定資産の取引など、企業がどのような投資をしているかを示しています。成長期の企業では投資キャッシュフローがマイナスであっても積極的な投資を行っていると捉えることができます。
財務活動によるキャッシュフロー
財務活動によるキャッシュフローは、資金調達や返済の方法を示します。成長期の企業である場合、自己資金よりも多くの資金を調達しているケースが多いです。逆にマイナスの場合は、借入金の返済が進んでいることを示唆します。
フリーキャッシュフロー
フリーキャッシュフローは、事業活動で得たお金の中で自由に使える資金を指します。営業活動と投資活動のキャッシュフローを合算して算出し、プラスの場合は手元の資金に余裕があることを示します。マイナスの場合は、資金調達が必要であることを示唆します。
キャッシュフロー計算書の分析方法
キャッシュフロー計算書を使用して、期首から期末までの資金の増減を確認することで、会社の資金状態を分析することが可能です。会計期間終了時に残される金額は、現金および現金同等物の期末残高として表示されます。ただし、現金および現金同等物の期末残高が増加していたとしても、それだけでは経営の順調さを判断するのは難しいです。なぜなら、本業で利益を上げられず、営業活動によるキャッシュフローが減少している場合でも、投資や借入などで保有する資金があれば、資金額はプラスに表示されるからです。従って、キャッシュフロー計算書を分析する際には、営業活動によるキャッシュフロー、投資活動によるキャッシュフロー、財務活動によるキャッシュフローといった3つの活動に基づくキャッシュフローごとの増減に注意を払う必要があります。
過去のキャッシュフロー計算書の営業活動によるキャッシュフローを比較した場合、減少が見られれば事業が不調と予測されるため、本業の改善策が必要です。
▼キャッシュフローのより詳細な分析方法は下記をご覧ください▼
・【キャッシュフロー分析】8つのパターンからわかる特徴とは?
キャッシュフロー計算書の作成方法
キャッシュフロー計算書の作成には、貸借対照表と損益計算書が必要です。前期および当期の貸借対照表、当期の損益計算書を用意し、固定資産や有価証券の取得や譲渡、新株発行の取引があった場合、それらの取引に関する資料も準備します。その上で、営業活動・投資活動・財務活動のキャッシュフローに関連する項目をピックアップして金額を当てはめていきます。各キャッシュフローにおける主要な項目は下表のとおりです。
営業活動によるキャッシュフロー | 税引き前当期純利益 |
減価償却費 | |
売上債権の増加 | |
棚卸資産の増加 |
|
法人税等支払い等 | |
投資活動によるキャッシュフロー | 有価証券の取得 |
有価証券の売却 | |
固定資産の取得 | |
固定資産の売却等 | |
財務活動によるキャッシュフロー | 資金の借入 |
借入金の返済 | |
新株発行等 |
まとめ 資金繰りに強い税理士を探すなら
本記事では、資金繰りとキャッシュフローの違いに焦点を当て、それぞれが経営に及ぼす影響について解説しました。
資金繰りは日常業務における資金の動きを管理し、将来の支出に備えます。一方でキャッシュフローは、企業全体の現金の動きを評価し、財務の健全性を評価するのに役立ちます。
もし今の税理士から「資金繰り表」や「キャッシュフロー計算書」の作成をサポートしてもらえていない、という経営者様は要注意です。
知らぬ間に資金不足や財務状況が悪化する可能性があります。
「資金繰り表やキャッシュフロー計算書をもとに、税理士からアドバイスがほしい」とお考えの経営者様はぜひお気軽に船井総研・税理士セレクションまでご相談ください。
資金繰りのサポートに強い税理士をご紹介いたします。
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石原 佑哉
新卒で船井総研へ入社以来、HR領域のコンサルティングで全国各地・様々な業種の企業の成長支援を行ってきた。
その中で成長企業ほど会計周りの業務効率化や決算・税理士に関する悩みが多かったことから、”企業レベルと税理士レベルのミスマッチを解決する”という事業コンセプトに共感し、成長企業とハイレベル会計事務所をマッチングする税理士セレクション事業のメンバーとして活動している。
現在は多くの業種のコンサルティングに携わった知見を活かし、業種・企業規模に応じた課題を解決するべく、年間200件以上のご相談に対応している。