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公開日:2022.12.02更新日:2022.12.05
月次決算の流れとは?早期に作成するためのポイント
月次決算とは、営業成績や財政状態を明らかにするために毎月行われる決算を指します。経営管理に必要な情報を提供することを目的に、事業年度末に行う年次決算とは別に行っています。月次決算を有効活用することで、企業の迅速な意思決定や業務改善に役立てることができます。
本記事では、月次決算の流れや早期に作成するためのポイントについて解説していきます。経理業務を担当されている方や、月次決算による経理の効率化を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
月次決算とは?
月次決算とは、会計期間を1ヶ月で区切り、月単位で決算書を作成することを指します。月次試算表や残高試算表とも呼ばれており、主に貸借対照表と損益計算書の2つの財務諸表で構成されています。月次決算を行うことで、企業の経営成績を1ヶ月単位で把握できるため、タイムリーな経営判断やアクションをできるようになります。月次決算は、企業の安定経営を実現するために必要な仕組みの1つといえるでしょう。
月次決算の目的
月次決算の目的は、タイムリーな業績把握により年度計画を管理し、適切な利益予想を行うことにあります。売上高や利益を毎月具体的な数字で確認することができるため、売上状況が芳しくない時には早期に原因を究明し、適切な対策をとることが可能です。また、自社製品の生産状況や債権債務の回収支払状況などに関する問題も早期に発見できるため、適宜適切な対応をとっていくことで安定的な経営が可能となります。その他、年次決算における利益額が早期に予想できるため、納税資金の確保や余裕をもった節税対策が可能となります。
年次決算との違い
年次決算は、会社法や法人税法などの各種法律によって、毎期実施することが義務付けられています。これに対して、月次決算は毎月末を決算期末として企業が任意で行うものです。そのため、すべての企業で月次決算が行われているわけではありません。また、年次決算では会計期間中の経営成績と財政状況を損益計算書と貸借対照表にまとめ、株主などの利害関係者に対して情報提供することを目的としています。これに対して、月次決算では経営者が今後の経営方針や事業戦略を検討するための参考資料として作成します。そのため、一定時点の財政状況を表す貸借対照表よりも、期間中の経営成績を表す損益計算書の作成に重きを置くケースが多いです。
月次決算を作成するための流れ
ここでは、月次決算を作成するための流れについて解説します。月次決算業務は、「決算に必要な情報の整理」「月次試算表の作成」「月次事業報告書の作成」という3つの業務に大別されます。月次決算業務では、正確性とスピード感が重要となるため、期限を定めてスケジュールを組み、段取りよく進めていくようにしましょう。
①決算に必要な情報の整理
月次決算の第1段階では、決算に必要な情報の整理を行います。月次決算を有効活用するためには、遅くとも月の中旬までには月次決算を終えることが理想です。企業の規模によって異なりますが、月末締日から起算して10営業日までに完成させるのが理想ですが、まずは30日以内に完成できる仕組みを作ることから始めましょう。決算に必要な情報の一覧を下表にまとめます。
現預金の残高確認 |
現預金勘定の帳簿残高と実際の残高を確認します。差異がある場合は原因を追求し、修正していきます。 |
月次棚卸 |
月末締日時点の在庫金額を確定します。月次決算では、棚卸資産管理手続きの整備がされている場合、実地棚卸しを省略することができます。 |
仮勘定振替 |
仮払金や仮受金などの仮勘定を、適正な科目に振り替えます。 |
経過勘定処理 |
未払費用や前払費用などの経過勘定処理を行います。月次決算では、経過勘定の対象項目や計上基準を定めておくことで、迅速な処理が可能となります。 |
減価償却費や引当金の計上 |
減価償却や各種引当金については、年間費用を見積もり、1月あたりに按分した金額を毎月計上していきます。 |
②月次試算表の作成
月次決算の第2段階では、月次試算表を作成します。月次試算表は年次決算とは異なり、必須となる会計帳簿はありません。そのため、自社の状況に応じて月次で作成する会計帳簿を選定する必要があります。月次決算で作成する会計帖簿には、「損益計算書」「賃借対照表」「資金繰り表」「予算実績対比表」「前年同月対比表」「部門別損益計算書」「借入金一覧表」「売上高推移表」「受注残高表」「経費推移表」「売掛金残高表」「買掛金残高表」「在庫一覧表」などがあります。また、必要に応じて各部門別や事業所別の会計帳簿を作成すると、より細かな業績把握が可能となります。
③月次事業報告書の作成
月次決算の第3段階では、月次事業報告書を作成します。これらの資料を基にして、自社の経営層に対して経営成績について報告し、必要に応じた各種意思決定を行っていきます。
予め社長・経営層が知りたい数字を打合せしておき、判断しやすい形にまとめます。
月次決算を遅延なく行う事で、自社の状況をタイムーに把握し、迅速な意思決定に役立てることができるでしょう。
月次決算を早期に作成するポイント
ここでは、月次決算を早期に作成するポイントを紹介します。月次決算が遅れると、経営判断が遅れます。月次決算の早期化に向けた各種対策を実施し、遅滞なく作成できるような体制を整えましょう。
①請求書や経費精算の管理徹底
請求書や経費精算の管理徹底は、月次決算業務を遅滞なく行うために必要不可欠な要素です。請求書や経費精算に関する伝票は、必ず期限通りに提出もらうようにしましょう。社内においては、締切日を事前に周知し、各種伝票が経理部門へ早期に提出されるような仕組みづくりを工夫しましょう。また、社外においては、取引先に対して締切日の徹底について協力を依頼することも有効な手段でしょう。
②クラウド会計を活用した業務効率化
クラウド会計を活用した業務効率化を進めることで、日常業務のみならず月次決算業務の早期化も図ることができます。一例として、クラウド会計では金融機関の入出金データを取り込み、自動仕訳登録を行うことができます。これにより、預金残高の確認や記帳作業を迅速に行うことが可能となります。その他にも、領収書などの証憑資料を取り込むことで、自動仕訳登録を行う機能を備えたクラウド会計と連携できるツールも存在します。
また、クラウド会計では、時間と場所を選ばずにアクセスできるというメリットがあります。会計処理の不明点についても、顧問税理士とのデータ共有により、迅速な解決に繋げることが可能です。経営者にとっても、経理担当者からの報告を待たずして、必要なときにリアルタイムで状況を確認することができるため、よりタイムリーな情報共有が可能となるのです。
③自社だけで難しい場合は経理アウトソーシングの活用
月次決算を自社だけで行うのが難しい場合、経理アウトソーシングを活用することも有効な選択肢の一つです。経理アウトソーシングと聞くと、記帳代行や請求書管理の対応が一般的なイメージですが、税理士や公認会計士が在籍する経理アウトソーシング業者では、決算書類の作成や法人税の申告、月次決算までワンストップサービスを提供していることもあります。船井総研・税理士セレクションでは、経理代行や月次決算などのアウトソーシングにも対応している税理士をご紹介できます。同サービスでは、成長企業のための優良会計事務所を厳選して紹介しています。単純な安さを売りとした価格比較による紹介ではなく、企業の成長フェーズに合わせて適切な提案ができるプロフェッショナルのみを紹介しています。経理代行や月次決算に対応した税理士へ依頼することで、日常の経理業務に関する相談から税務相談に至るまでをワンストップで解決できます。また、確実な月次決算によりタイムリーに経営状況を把握し、迅速な意思決定に役立てることが可能です。ぜひお気軽にご相談くださいませ。
まとめ
本記事では、月次決算の流れや早期に作成するためのポイントについて解説していきました。月次決算は、経営状態の把握や迅速な意思決定を講じるために必要不可欠なものです。月次決算を有効活用することで、企業の業務改善に大きく役立てることができます。船井総研では、月次決算や経理アウトソーシングに対応した税理士紹介サービスを提供しています。単純な料金比較による紹介ではなく、企業の状況に合わせて適切なアドバイスができるプロフェッショナルに厳選して紹介しているため、月次決算や経理アウトソーシングを検討されている方はぜひ利用してみてください。
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石原 佑哉
新卒で船井総研へ入社以来、HR領域のコンサルティングで全国各地・様々な業種の企業の成長支援を行ってきた。
その中で成長企業ほど会計周りの業務効率化や決算・税理士に関する悩みが多かったことから、”企業レベルと税理士レベルのミスマッチを解決する”という事業コンセプトに共感し、成長企業とハイレベル会計事務所をマッチングする税理士セレクション事業のメンバーとして活動している。
現在は多くの業種のコンサルティングに携わった知見を活かし、業種・企業規模に応じた課題を解決するべく、年間200件以上のご相談に対応している。