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税理士の賢い選び方
公開日:2023.07.19
更新日:2024.03.26

税理士変更で嫌な思いをしない!穏便な断り方と移行の手順を徹底解説!

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「顧問税理士を変更したいが、長年お世話になっているので言いづらい」

「できれば後腐れなく、穏便に移行したい」

「どのような手順で進めるのかわからないが、大変そうな気がしている」

そのようなお声を必ずと言ってもいいほど伺います。

 

そこで、本記事では、顧問税理士を変更する際の流れや、穏便に変更するためのポイントについて事例をもとにご紹介します。

 

 

 

顧問税理士を変更する際の大まかな流れと事前準備

現在の税理士に不満がある場合や自社に合わないと感じている場合、税理士を変更すべきか迷う方も少なくないと思います。しかし、現在の税理士との契約内容に抵触しない限り、税理士の変更を行うことは全く問題ありません。相手への伝え方を間違えず、手順をきちんと踏むことで、穏便に移行することが可能です。

 

税理士を変更する際の大まかな流れは下記です。

 

①情報収集

②新しい税理士との面談

③見積もり

④移行の判断・契約

⑤資料やデータの共有、業務フローの確認(12ヶ月)

⑥最終移行

 

②新しい税理士との面談~④契約までは、企業規模に依りますが大体13ヶ月ほど、そこからデータの共有等を含めてすべてを移行するまではさらに1~2ヶ月ほどかかることが多いです。

そのため、税理士変更を実施する際は、3ヶ月程度かかると想定しておくとよいでしょう。

 

税理士変更する方は、決算後や四半期のタイミングで切り替えを行う方が多いです。そこに照準を合わせて、事前に情報収集をしておくことをおすすめします。

 

また、現在の顧問税理士との契約書を確認し、何ヶ月前に解約の告知が必要かも確認しておきましょう。解約告知を守らないと違約金が発生する場合があるほか、トラブルにつながりかねません。実際のところ、税理士側は税理士変更に慣れている為柔軟な対応をしてくれるケースは多いですが、できるだけ円満な形で移行する為に、ある程度変更する意思が確定した段階で、いつからどのように切り替えるのか、新しい税理士へ相談しておきましょう。

 

 

次からは税理士変更の大まかな流れについて、項目別に解説します。

 

①情報収集

顧問税理士を変更したい、とお考えになったら、まずは現状の整理と情報収集を行いましょう。

現在の税理士とのギャップや疑問点、今後の経営方針を整理し、税理士にどのようなサポートを受けるべきなのか、どのような税理士が自社に必要なのかはっきりしておくと、進めやすいでしょう。

 

また会計事務所によって得意な分野やテーマは異なります。事前にHPなどで税理士事務所の得意な部分をしっかり把握しておきましょう。

 

ここでポイントなのは、「自社の業種業界にあった事務所か」「自社の特性や成長スピードに合った事務所か」です。成長企業の場合、「自社よりも規模の大きい同業種のクライアントを複数抱えているか」は、判断をする際に重要な指標です。なぜなら、自社よりも規模の小さなクライアントが多いと、問題にぶつかった時、事例と解決策を提示することができないからです。その点を踏まえて、検討しましょう。

 

②新しい税理士との面談

新しい税理士と現在の問題を解決できそうか、面談を通じて整理しましょう。

近年は直接訪問しなくとも、Zoomなどのアプリを活用したWeb面談も可能です。

出張時や万が一の入院時などでもコミュニケーションを取れるようにしておくことを考えると、Web面談に対応できる税理士を選んだ方がリスクヘッジできるでしょう。

 

新しい税理士の得意分野はどこなのか、安心できるポイントは何かを説明してもらい整理しておくと、現在の顧問税理士に変更を伝える際も伝えやすいでしょう。

 

③見積もり

面談の後は、見積もり段階に移行します。顧問契約や経理のアウトソーシングなど実際に依頼したときにどれぐらいの費用がかかるのか、確認しましょう。

 

見積もりを出すためには、決算書や総勘定元帳など会社のデータが必要になります。そこで税理士に必要書類の準備を依頼しなければならないケースも出てきます。

その際は、関係性に応じて理由を伝えましょう。

 

また、ここで必要な書類がすぐ出てくれば、見積もりまでのスピードはあがります。年に1回しか頼まない、といった関係性ですと、決算書が出てくるまでに時間差が生じるかもしれません。

 

冒頭でお伝えしたように、いつまでに切り替えるか、ある程度期間を決めた上で進めるとスムーズです。

 

④移行の判断・契約

「いきなりすべてをお願いするのは不安」「以前の税理士には大変お世話になったので、関係性を維持したい」といった方は、徐々に移行していく方法もあります。

 

たとえば、「いきなり顧問契約を結ぶのではなく、経理改善コンサルからスポットで依頼し、慣れてきたら顧問契約に移行する」「会社として顧問契約は新しい税理士に依頼するが、経営者ご自身の確定申告や相続の依頼は以前の税理士のままお願いする」など様々な方法があります。

 

お世話になった税理士を立てながら移行する方法も様々なパターンがあります。

穏便に移行したい場合は、ご自身で抱え込まず、気軽にご相談ください。

 

⑤資料やデータの共有、業務フローの確認(1~2ヶ月)

契約を結んだら、次に行われるのがデータの移行や共有です。

こちらは新しい税理士が必要書類の指示を出してくれるので、基本的に貴社は頼まれたものをご準備するだけで問題ございません。

税理士事務所によっては、貴社を通さず、税理士同士でやりとりを進めてくれる場合もあります。

 

新しい税理士との契約は、現在の顧問税理士との契約が切れる12ヶ月前から同時並行で結ぶのもよいかもしれません。

 

会社の最も重要なデータを扱うため、慎重に移行する必要があります。

そこで、早めに契約を結び、新しい税理士に移行の手続きを丁寧に進めてもらいましょう。

⑥最終移行

データの共有が終われば、最終移行の完了です。

顧問税理士への断り方とは?穏便に伝える3つの方法

【理由別】税理士を穏便に変更する「断り方」

ここでは、税理士を穏便に変更する「断り方」について、理由別に解説していきます。

税理士側の明らかな非が原因で、税理士を変更する場合の断り方

税理士を変更する理由が、税理士側の明らかな非が原因であった場合でも、角の立たない「断り方」をするべきです。

断り方のアプローチとしては、問題点を詳しく説明し、期限内に改善の余地がない場合は税理士変更も視野にいれている旨を伝えましょう。また、その際にも理由を明確にして丁寧に伝えるようにしましょう。非難や攻撃的な言葉を避けて伝えることが重要です。今までお世話になった分、こちらも税理士変更を行うことは心苦しいこと」も合わせて伝えるとよいでしょう。

 

税理士側に非はないが、今後を見据えて税理士を変更する場合の断り方

税理士側に非はないが、今後を見据えて税理士を変更する場合、正直かつ丁寧に理由を伝えるようにしましょう。今後を見据えた前向きな理由である場合、角が立つ可能性はそれほど高くはありません。

逆に税理士側も企業の成長スピードについていけず、サポートの限界を感じていたケースもよく見受けられます。

前向きな理由には、下記のような税理士に対するニーズの変化等が挙げられます。

 

・自社のDXも進めたいと考えており、クラウド会計を使えるITに強い税理士に変更したい

IPOを目指すため、上場準備に対応できる税理士に変更したい

・新しい事業分野に詳しい税理士が必要である

・今後、事業の海外展開を視野に入れた際、海外取引に精通した税理士のサポートが必要である

・経理のアウトソーシングに対応可能してもらう必要がある

・医療専門のチームがあり、今後分院展開する時のサポートが手厚い税理士に変更したい

・経理や労務のクラウド化に強い税理士に変更し、業務効率化を進めたい

・事業承継専門の税理士にサポートを受けたい

など

 

新しい税理士事務所の得意な分野と自社の方向性が一致している点を伝えるとよいでしょう。

 

現代の中小企業が対応すべきことは幅広く、また会社のフェーズや方向性によっても様々で、全ての分野に高度に精通した税理士は存在しません。税理士には得意な分野と不得意な分野が必ずあります。そのため、現在の税理士が不得意な分野や特化していない分野に対するニーズが高まった場合、税理士を変更することで双方にとって良い結果となることもあります。

 

誠実に理由を説明し、長期的なサポートに感謝の意を伝えることも忘れずに行いましょう。

 

 

【関係性別】税理士を穏便に変更する「断り方」

ここでは、税理士を穏便に変更する「断り方」について、税理士との関係性別に解説していきます。

長年契約している税理士への断り方

長年契約している税理士に対しては、感謝の気持ちを持ちつつ誠実に対応することが必要です。まずは、長年にわたる信頼と感謝の気持ちを伝えましょう。税理士との長い関係によって築かれた信頼や協力関係に感謝の意を述べることで、相手に対する敬意と感謝の気持ちを示します。

 

次に、変更の理由を丁寧に説明しましょう。具体的な事情や変化したニーズ、経営上の戦略変更などを率直に伝えることで、相手に対して変更の意思が慎重に考えられたものであることを伝えます。

 

また、変更先の税理士によって得られるメリットや新たなサポートの必要性も説明することで、変更の意義を伝えることが重要です。

 

さらに、円滑な引継ぎについても配慮しましょう。変更先の税理士との連携や書類の引継ぎについて話し合い、スムーズな移行を実現するための協力を申し出ることが好ましいです。これにより、長年の関係を大切にしつつも新たな税理士との連携に積極的な姿勢を示すことができます。

 

最後に、感謝の意と良好な関係を維持する意思を示しましょう。変更後も相手との関係を続けたい旨を伝え、今後も協力し合える機会があれば幸いと述べることで、円満な関係を保ちながら税理士を変更することを目指しましょう。

 

弊社に税理士変更についてご相談いただく会社様も、多くのケースにおいて税理士側でも理解を示して協力してくれています。

勇気をもって、真摯に伝えてみていただくことが重要です。

 

遠い親戚である税理士への断り方

遠い親戚である税理士に変更を伝える場合、関係性を尊重しつつも明確に意思を伝えることが重要です。

まずは、親戚関係に基づく敬意を示しましょう。親戚というつながりに感謝の気持ちを述べることで、関係性を大切にしていることを伝えます。

 

また、変更することで親戚関係に何らかの影響を与えないことを明確に伝えることも大切です。

 

どうしてもすべてを切り替えることは心苦しい場合は、法人は新しい税理士に変更し、社長個人の確定申告やスポットでの相談は引き続き親戚にお願いするといったように、一部の依頼は残すことも一つです。

 

そして、変更の理由と引き継ぎの手続きについて、誠意をもって説明すると共に、関係性の維持と感謝の意を示しましょう。

変更後も親戚としてのつながりを維持したい旨を伝えることで、円満に税理士を変更することができます。

 

 

前経営者の友人もしくは前経営者が懇意にしていた税理士への断り方

「現在の顧問税理士は、先代からのお付き合い」というケースも非常に多いです。

前経営者の友人もしくは関係先である税理士に変更を伝える場合、友情とビジネスの関係をバランスよく考える必要があります。

 

まずは、前経営者との関係性に対して感謝の気持ちを伝えましょう。前経営者との長い付き合いや協力関係に感謝の意を述べることで、相手に対する敬意を示します。

 

次に、税理士変更の理由を明確に説明しましょう。具体的なニーズやビジネス上の要件が変わったことを伝えます。相手が理解しやすいように具体的な例や事実を挙げると良いでしょう。

 

また、先方を立てる意味でも早めに「現在の経営においてこういった部分に困っている」「〇〇のサポートもしていただけないでしょうか?」と困っている点を相談し、対応が難しそうであれば税理士変更を視野に入れている件は伝えておくのも一つでしょう。新しい税理士を確定した状態で突然ご連絡すると、先方にとっては寝耳に水の状態になりかねません。

 

事前にそういった悩みや動きはあったと感じさせていた方が、変更の意を伝えた後も納得いただけるでしょう。

 

友人からの紹介で契約した税理士への断り方

友人からの紹介で契約した税理士に変更を伝える場合、紹介をしてくれたご友人に対して迷惑がかからないよう配慮する必要があります。

 

まずは、現在の税理士との縁に対する感謝の気持ちを伝えましょう。友人からの紹介によって実現した、現在の税理士との出会いに感謝の意を述べることで、これまで築いてきた信頼関係を振り返ります。

 

次に、変更となった理由について、自社の背景や税理士へ求めるニーズ等を踏まえて丁寧に説明するようにしましょう。

 

また、事前に紹介してくれた友人に対しても、税理士の対応や悩みを共有し、友人経由でフォローしてもらえないか相談しておくのもよいでしょう。

 

税理士には関係性上、直接言いづらいことも、友人経由ならかみ砕いて率直に伝えてもらえるケースもあります。友人に予め相談しておくことで、友人側にも税理士変更を納得してもらえます。

 

友人からの紹介で契約した税理士との契約を変更する場合、相性や料金体系が合わないと感じたとしても、友人の手前なかなか断りづらいかと思います。しかし、理由を明確にして誠実に説明することで、円滑な変更手続きを進められることでしょう。

 

税理士を穏便に変更するための4つのポイント

①事前に顧問税理士へ改善してほしい点を伝えておく

現在の顧問税理士にお悩みがあれば、事前に改善してほしい点を伝えておきましょう。

「もっと積極的に提案をしてほしい」「相談したら、返信は早めにほしい」などもし伝えて改善してもらえるのであれば、そのまま関係性を続ければよいですし、それでも改善しないのであれば税理士変更を行う正当な理由となります。

 

そのため、不満や不安があれば、事前に率直に伝えておくようにしましょう。

②関係性に応じて徐々に移行する

途中で述べたように、「会社自体の契約は切り替えるが、経営者個人の契約は残す」「セカンドオピニオンの依頼は現在の顧問税理士にお願いする」など、現在の顧問税理士との関係性を維持しながら移行する方法は複数あります。

 

専門家に相談し、自社にあった移行の方法を検討しましょう。

③移行の際は、これまでの感謝と前向きな移行の理由を伝える

移行の理由をはっきり伝えずに移行してしまうと、後々トラブルになってしまうかもしれません。

そのため、これまでの感謝と合わせて、前向きな移行理由を伝えましょう。

後ろ向きな理由の場合でも、表現を変えて前向きな言葉で伝えると、先方も受け入れやすくなります。

 

後腐れなく卒業できるように配慮しましょう。

④顧問税理士との契約書を確認し、移行に向けたスケジュールを立てる

契約内容によっては伝えるタイミングで違約金が発生する可能性があります。また、データの共有・引継ぎを含め、完全に税理士を変更するまでは半年程度の期間がかかります。事務方の混乱がないよう、早めにスケジュールを立てておきましょう。

 

 

船井総合研究所では、日本全国の成長企業から税理士に関する様々なお悩みをいただいております。

「今の税理士は適切なのか?」「他の会社はどのように穏便に税理士を変更しているのか?」お悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。

税理士変更に関するよくある誤解

税務調査が入りやすくなる?

税理士を変更すると税務署に目を付けられ、税務調査が入りやすくなるのでは?と思う方がいらっしゃいますが誤解です。

税理士の変更は税務調査とは関係がありませんので、ご安心ください。

ただ税理士によって費目等の判断基準が異なる場合があり、前期と大きくずれると違和感をもたれる可能性はあります。基準の齟齬がないようにする注意は必要です。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

本記事では税理士変更の流れ・顧問税理士への穏便な断り方・ポイントと注意点・よくある誤解について書かせていただきました。

 

税理士セレクションでは、税理士の変更に関する役立ち情報を発信しております。

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WRITER
坂田 知加
会計事務所向けコンサルティングに従事し、全社において女性最速・最年少で管理職に昇進。これまで全国300以上の会計事務所に関与。「企業レベルと税理士レベルのミスマッチ」を解決したいという想いより、現在は成長企業とハイレベル会計事務所のマッチングを行っている。
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