- 初めての方必見記事税理士の賢い選び方2022-06-17税務と労務をワンストップで依頼するメリットとは?会社経営に欠かせない税務と労務。相談したいことがあっても、「これは税理士と社労士、どちらに相談すべきなのか」と迷う方は少なくありません。 会計事務所によっては、グループ内に社労士法人を持ち、税務と労務をワンストップで相談 […]
- 税理士の賢い選び方
-
公開日:2024.01.18更新日:2024.01.19
介護・福祉事業に強い税理士とは?依頼するメリットや選び方、顧問料の相場をご紹介!
介護保険報酬改定への対応や深刻な人材不足など、介護・福祉事業の経営を取り巻く環境は、日々変化しています。
また、介護・福祉事業の経営は他の業種と比較すると複雑で、会計や経理の面でも専門的な知識が必要とされます。そのため、介護・福祉事業に強い税理士と顧問契約を結ぶことは、事業の安定的な発展に欠かせません。
そこで本記事では、介護・福祉事業に強い税理士のメリットや選び方、顧問料の相場について解説します。
介護・福祉事業者によくあるお悩み
ここでは、介護・福祉事業者によくあるお悩みについて紹介します。
①介護・福祉事業特有の会計が複雑で、時間がかかっている
介護・福祉事業の会計は、一般事業の会計とは異なり詳細な区分経理が必要となるため非常に複雑です。厚生労働省が定める「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」の第38条によって、「指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所ごとに経理の区分をするとともに、指定訪問介護の事業の会計とその他の事業の会計を区分しなければならない」とされています。これらの基準を満たさない場合は運営基準違反となり、指導対象もしくは取消しとなるため、専門的な知識が欠かせません。
介護・福祉事業に強い税理士であれば、このような業界特有の会計業務を代行してくれたり、スムーズに進められるような経理体制づくりのサポートをしてくれて、事業者は経理にかかる時間を節約できます。経営者やスタッフは本業に集中でき、サービスの向上や売上の向上に繋げることができます。
②煩雑な経理をアナログのまま進めており、効率化できていない
業歴が長い事業所において、煩雑な経理をアナログのまま進めているケースがよく見られます。しかし、DX化の推進が求められる昨今においては、紙やファイルを多用したアナログなやり方のままでは極めて効率が悪いでしょう。
また、電子帳簿保存法の施行により、事業者における経理業務のデジタル化は急務となっています。介護・福祉事業に強い税理士であれば、介護・福祉業界に合った経理のデジタル化や効率的な経理システムの導入をサポートしてくれて、業務効率化を推し進めてくれます。それによって、事業者はより迅速かつ正確な経営判断が可能となります。
③経営者や親族が経理を担当しており、経営や本業に集中できていない
小規模事業所の場合、経理業務を経営者ご自身や親族が担当されているケースも多いです。
その結果、経営者・経営層が入力業務などに追われ、本業に集中することができていないケースがあります。
本来であれば、試算表をもとに資産や負債の状況を確認し、売掛金の金額が高い場合は回収状況を確認する、等の動きを指揮するのが経営者の仕事の1つです。また事業成長のための投資計画や採用計画等、未来のことを考えるべきです。
介護・福祉事業に強い税理士と顧問契約を結び、経理業務を代行してもらう、またはクラウド化等の効率化をしてもらうことで、経営者が本業に集中できる環境を整えましょう。
④スタッフが定員割れしないよう採用や給与改善を積極的に行うべきだが、どこまで投資してよいかわからない
介護・福祉業界では、厚生労働省が定めた「人員配置基準」が存在します。介護施設では、施設ごとに入居者数に対して必要な配置人数が設定されており、人材の採用においては人員配置基準を下回らないように配慮する必要があります。
例えば、人員配置基準においては、入居者3人に対して1人の介護職員又は看護職員を配置しなければなりません。スタッフが退職しないよう給与改善や働きやすい環境の整備、良い人材を獲得するための採用は介護・福祉事業において重要な課題です。
しかし、自社が採用や処遇改善にどこまで投資していいのかわからない、という経営者は少なくありません。
介護・福祉事業に強い税理士であれば、事業の財務状況を見える化し、本年度の利益着地がどうなりそうか、適切な投資金額はどれぐらいかを教えてもらうことが可能です。
これにより、スタッフの定員割れを防ぎつつ、事業の健全な投資・成長を促進することができます。
介護・福祉事業に強い税理士に依頼するメリット
ここでは、介護・福祉事業に強い税理士に依頼するメリットについて解説します。
介護・福祉事業特有の会計・税務をきちんと理解してくれる
介護・福祉事業に強い税理士は、事業特有の会計・税務に精通しています。業界におけるルールや規制を理解しているため、法的に適切な形で運営されるようサポートすることが可能です。
これにより、潜在的な法的リスクを最小限に抑え、安心して事業を展開することができます。
経営数値の早期把握のサポートをしてくれる
経営数値の早期把握は、事業成功の鍵です。しかし、試算表を毎月作成できていない、2~3ヶ月遅れで出てくるという事業者様は少なくありません。
船井総研がご紹介する介護・福祉事業に強い税理士は、試算表の早期作成をサポートし、経営数値の見える化をサポートしてくれます。
クラウド会計の導入や経理効率化のサポートをしてくれる
介護・福祉事業に合ったやり方で、クラウド会計の導入や経理効率化をサポートをしてくれます。
実際、弊社で税理士をご紹介した介護事業者様は、クラウド会計を導入したことで、経理に関する工数を80%削減できました。
もともと経営者の方が経理業務をされていて、会計ソフトの入力や給与計算に月80時間かかっていましたが、税理士を変更してクラウド化をサポートしてもらいました。それにより圧倒的に紙資料やそれらをまとめていたファイルが減少し、業務を省力化することができました。その結果、M&Aや新しい施設の設立等未来を考える時間ができるようになりました。
必要に応じて経理のアウトソーシングを受けてくれる
介護・福祉事業に強い税理士は、事業者が本業に専念できるよう、必要に応じて経理のアウトソーシングを提案をしてくれます。
例えば、会計ソフトへの入力代行(記帳代行)や給与計算なども税理士事務所によっては代行してくれます。これにより、事業者は重要な業務にリソースを集中できるので、経理担当者を雇用していない、経営者、経営層が経理業務をしている、という場合は、アウトソーシングをしてくれる税理士事務所を選ぶことがおすすめです。
他の介護・福祉事業の事例を教えてもらえる
介護・福祉事業に強い税理士は、同業他社への支援事例や経験・ノウハウを豊富に持っています。これに基づいたアドバイスや成功事例の共有により、事業者は一歩先を行く事業者の事例や業界全体のベストプラクティスを理解し、自社の事業を進化させることができます。
資金繰りの把握をサポートしてくれる
近年、介護保険制度は「質の向上」を求めてきており、「複合型サービス」が増えていく傾向は今後も継続していくでしょう。
サ高住のみやっていた事業所が訪問介護も行うナーシングホームへ転換し、客単価や月売上を向上させた事例などがありますが、新しい事業を付加するには銀行からの融資が必要となってきます。
その際、介護・福祉事業に強い税理士であれば、事業者の資金繰りや、金融機関に評価される決算書作成をサポートしてくれて、銀行への提出書類の作成サポートなどもしてもらえます。さらに、税理士事務所によっては、貴社が受けられる補助金などの情報提供もしてくれます。
介護・福祉事業における顧問税理士の選び方
ここでは、介護・福祉事業における顧問税理士の選び方について解説します。
介護・福祉事業の顧問先を持っているか
税理士変更を検討する際は、介護・福祉事業の顧問先を何社持っているかを確認しましょう。
介護・福祉事業は他の業種とは異なる特性があります。3年に一度の報酬改定に向けた情報提供や、新たな報酬体制に合わせた経営数値のシミュレーションなど、顧問税理士がこの業界を理解し、そのニーズに対応できるかどうかを確認しましょう。
レスポンスが早いか
税理士事務所のレスポンスが早いかを確認しましょう。事業における緊急の問題や会計上の質問が生じる場合、顧問税理士には迅速な対応が求められます。
顧問税理士が素早く対応できるかどうかを確認し、円滑なコミュニケーションができるパートナーを選ぶようにしましょう。
経理改善のサポートもしてくれるか
税理士との顧問契約を検討する際には、経理改善もサポートもしてくれるかを確認しましょう。
単なる税務処理だけでなく、クラウド会計の導入・活用や経理フロー効率化などのサポートまでをしてくれる税理士に依頼すると安心でしょう。
計画策定・予実管理をサポートしてくれるか
事業の長期的な成功には、計画策定と予実管理が欠かせません。
税理士との顧問契約を検討する際には、事業の計画策定・予実管理をサポートしてくれるかを確認しましょう。
介護・福祉事業を得意とするハイレベルな税理士事務所では、顧問税理士がこれらをサポートし、目標達成に向けた計画を共に構築できる事務所もあります。
税務調査対応が可能か、節税対策も提案してくれるか
税理士との顧問契約を検討する際には、税務調査対応が可能かどうかや、節税対策も積極的にサポートしてもらえるかを確認しましょう。
遠方の税理士でも、税務調査の際は訪問してくれるケースがほとんどですが、訪問対応が可能か、難しい場合はZoomなどのWeb会議ツールを使ってどのようにサポートしてくれるのか、など確認しましょう。
また、場当たり的な節税対策では、貴重な利益を上手く活用しきれないケースがあります。計画的な節税対策や自社にとって最適な節税対策を提案してくれる事務所を選びましょう。
目指す事業形態に応じて、先を見据えたアドバイスをしてくれるか
顧問税理士を選ぶ際は、先を見据えたアドバイスをしてもらえそうかも重要です。一歩先を行く同業者の事例を紹介してもらえるか、将来の展望に合わせて計画的な提案をもらえるかも確認しましょう。
事業の持続的な成長には、事業形態や将来の展望に応じたアドバイスが重要です。
介護・福祉事業に強い税理士は、業界動向や法的変更を把握し、事業者にとって最適なアドバイスを提供してくれるでしょう。
社労士事務所を内包しているか(労務も含めトータルサポートをしてくれるか)
経理から労務までワンストップで依頼したい、という場合は、税理士事務所が社労士事務所を内包しているか、税務だけではなく労務も含めたサポートをしてくれるかを確認しましょう。
社労士事務所を内包している場合、税務と労務も併せたワンストップでのトータルサポートが期待できます。従業員の雇用や労務管理に関する問題にも総合的に対応してもらうことで、経営の更なる効率化が期待できるでしょう。
介護・福祉事業における税理士顧問料の相場
ここでは、介護福祉業における税理士顧問料の相場について解説します。
売上1億円前後であれば、顧問料は目安として月額30,000~50,000円程度で、別途決算申告料が発生することが一般的です。
顧問税理士の主な業務には「税務や会計に関する相談」「税務書類の作成」「申告業務」などがありますが、これらの業務量は企業の売上高や取引件数に応じて顧問料も変動します。
また、オプション料金が別途必要な業務もあります。
たとえば、「記帳代行」「給与計算」「年末調整」などは通常の顧問業務とは別にオプションとして提供されているケースがあります。これらのオプション業務の費用は基本の顧問料に加えて支払う必要があります。
記帳代行は、仕訳数によりますが月額20,000円~30,000円ほどで依頼できるため、経理を一人採用するよりも低コストでプロに業務を依頼することができます。
税理士に関するサービスは、安ければいいというものではありません。
安ければ安いなりのサービス品質のため、自社に必要なサポートをしてもらうための適切な投資と捉えて検討しましょう。
介護・福祉事業者の税理士変更事例
ここでは、介護事業者の税理士変更事例についてご紹介します。
①税理士変更で経理の工数を80%削減した介護事業者(年商1.3億円)の事例
②試算表を毎月出せるようになり、アナログから脱却した福祉用具レンタル事業者(年商1.9億円)
まとめ
本記事では、介護・福祉事業に強い税理士のメリットや選び方、顧問料の相場について解説しました。
介護・福祉事業の成功には、信頼性できる専門家からサポートを受けることが重要です。
船井総合研究所・税理士セレクションでは、介護・福祉事業に特化した税理士のご紹介が可能です。
今の顧問税理士にご不安を感じている経営者様、今後事業をより拡大していきたいとお考えの経営者様はぜひお気軽にご相談ください。
-
石原 佑哉
新卒で船井総研へ入社以来、HR領域のコンサルティングで全国各地・様々な業種の企業の成長支援を行ってきた。
その中で成長企業ほど会計周りの業務効率化や決算・税理士に関する悩みが多かったことから、”企業レベルと税理士レベルのミスマッチを解決する”という事業コンセプトに共感し、成長企業とハイレベル会計事務所をマッチングする税理士セレクション事業のメンバーとして活動している。
現在は多くの業種のコンサルティングに携わった知見を活かし、業種・企業規模に応じた課題を解決するべく、年間200件以上のご相談に対応している。